幼稚園、行くのに嫌がる子供〜園での対応や親としてできること〜
安心できる親元を初めて離れて送る幼稚園生活。
子ども達は期待だけではなく、最初は不安も抱きながら幼稚園生活をスタートさせます。それは保護者の皆さんも同じでしょう。
24時間、我が子が何をしているか全て目の前で見て把握できていた生活から一転、空白の時間が生まれます。
ただでさえ不安な思いを抱きがちそのな空白の時間・・・子ども達が登園を嫌がっていたら余計に不安な気持ちになることでしょう。
今回はそんな時の幼稚園の対応や保護者の皆さんが親としてできることを、私の保育者としての経験談を元にお話したいと思います。
子ども達が登園を嫌がる理由とは?
たくさんのことを経験し楽しいはずの幼稚園生活を、何故嫌がるのか。
それは「ママと離れたくない」という理由であることが大部分です。
なので週末明けの月曜日や長期休暇明けは、泣いて嫌がる姿が多く見られます。
また、最初のうちは緊張感で頑張れていたものの、慣れてきたGW明けや夏休み明けに登園を嫌がるようになる子もいます。
幼稚園生活を経験する中で、家にいた時は必要なかった我慢や譲り合いがストレスとなり、
「家で好き勝手したい!ママに甘えたい!」という気持ちが膨らんで登園を嫌がるのだろう・・・、と私は思っています。
また、繊細な子は進級しクラス替えをすると同じように登園を嫌がる場合もあります。
今まで慣れ親しんだ先生やお友達、環境から新しいそれになることへの不安によるものでしょう。
いずれにせよ、「ママと離れる」ということは子ども達にとって、とても大きなストレスになります。
けれども、お友達と遊ぶ楽しさを知ったり保育者との信頼関係がうまれたりするようになる頃には、たいていの場合登園を嫌がらなくなることが多いように思います。
もちろん個人差があり、1年間ずっと登園を嫌がる子もいます。でも4月当初と秋頃とを比較してみると嫌がり方にも違いが見られます。
「幼稚園は楽しい」「お友達・先生が大好き」という経験や気持ちの芽生える秋頃は、「休めるものなら休みたい」という消極的な嫌がり方になっていることも多いのですよ。
幼稚園側の対応は?
保育者からしてみても、1日も早く幼稚園生活を楽しめるようになって欲しいもの。その為に担任は全力でフォローにあたります。
例えばバス通園の子であれば、登降園ともにその子のバスコースに極力乗車できるように調整します。
少しでも安心感を持って登園してもらう為と、降園時に保護者の方に園での様子をお知らせする為です。
また、スキンシップを多めに取ることで信頼関係をより早く築けるように、また、少しでも安心して園生活を送ることができるようにもします。
担任だけではなく、幼稚園全体でフォローできるように日々の定例会での報告もし合います。
そういった幼稚園での子どもに対するのフォローの他に、とても大切なのが保護者の方との連携。
連絡帳や必要に応じて電話などで保護者の方と密に連絡を取り合う中で、ご家庭での様子や変化を伺い、把握に努めます。
私が経験した中ではやはり、抱っこして1対1の時間を少しでも作ることがとても効果的だったように思います。
登園時には泣いていても、保育者が抱っこし、保護者の方の姿が見えなくなるとピタッと泣き止む・・・なんてことも多々ありました。
親としてできることは?
ママの不安や迷いに、子ども達はびっくりするほど敏感です。
登園を嫌がりママから離れない・・・そんな我が子が心配のあまりいつまでもヨシヨシとなだめ傍についていると、子どもも益々離れがたくなってしまうもの。
ここはひとつ、心を鬼にして明るく元気に「大丈夫!いってらっしゃい!」と無理にでも自分から離して送り出してあげてください。
ここでの一番のポイントは「明るく・元気に」ということです。先にも述べましたが、ママの不安には子どもは本当に敏感なのです。
ママの不安とシンクロし、子どもも益々不安になる、そして周りにいるお友達も不安になったり里心がうずきだす・・・正に負の連鎖。
自分の内面の不安は隠し、期待を持てるような声掛けをして送り出してあげてください。
ある保護者の方は「帰ってきたら一緒に食べるおやつ買いに行ってくるね!だから幼稚園頑張っててね!」と言い、送り出していました。
その子はママが見えなくなると諦めがついたのでしょう、すぐに泣き止み、どんなお菓子が好きなのかや何のおやつを買ってきてくれるのかなどの話で私と盛り上がり、
その日はそれ以降泣くこともなくおやつを糧に頑張っていました。声掛けはなんでもいいのです。
ただ、とにかく明るく送り出してあげるだけで、子ども達も少しずつ変化してくると思いますよ。
不安なことや心配事は保育者にすぐに相談!
とにかく明るく元気に送り出す・・・とは言っても、心の中ではやはり不安でしょう。
親子ともに初めての園生活だと分からないこともたくさんあるでしょうし、その分心配事も尽きないものだと思います。
そんな時は担任の先生にどんどん聞いて心配事や不安材料はその都度取り除いてしまいましょう!どんなに些細はことでも大丈夫です。
保育者側からしてみてもお話を伺える分、子ども達のことも保護者の方のことも理解・把握しやすくなるのでありがたいものです。
普段バス通園をしているなら、たまには幼稚園にお迎えに来がてら担任の先生と話してもいいと思います。我が子の園での様子を少し見ることもできるかもしれません。
それに「ママが幼稚園に迎えに来てくれる」というイレギュラーなことを、とても楽しみにしている子ども達の姿をよく見かけたものですよ。
あと、お子さんが幼稚園で何をしてきたのか、とても気になると思います。
でも、無理に聞き出さないであげてください。子ども達は楽しかったことや初めて知ったことなど・・・話したいことは話します。
普段の何気ない会話の中でさらっと聞いても答えなかった時は、まだ楽しむというよりは毎日必死なのかもしれません。
帰宅し、完全なる安全地帯でくつろいでいる時に色々聞き立ててしまっては、くつろげる場所がなくなってしまいます。
そんな時にこそ、お子さんを質問攻めにせずに担任の先生に聞いてみるといいと思いますよ。
保育者との信頼関係がキーポイント
保育は、子ども達と保育者との信頼関係が何よりも大切です。同時に、子ども達とだけではなく、保護者の方との信頼関係も同じくらい大切なものです。
信頼関係が築けてこそ、子ども達も安心して園生活を送ることができますし、保護者の方も元気に送り出してあげられると思っています。
正直なところ、人間同士なので結局のところはフィーリングが合うかどうか・・・というところなのは否めません。
保護者の方は特に、保育者に対する第一印象や噂での先入観もあると思います。
私は緊張すると早口になってしまうこととと、柔らかい保育者らしい外見ではないためなのか、第一印象は悪いことの方が多いです。
だからこそ、日頃積極的に保護者の方と連絡を取りましたし、ほんの些細なことでも報告をしていました。
そうして1年が終わる頃には、「先生第一印象と違うね」と言って頂けることがほとんどでした。
とにかく子ども達とも保護者の方とも接する、話す、そして自分を分かってもらい信頼関係を築く。保護者の方もどんどん保育者にいろんなことを伝えてみてください。
そこで生まれた信頼関係は必ず、子ども達にもいい連鎖を生み出すこととなると思いますよ。