子育て中に腱鞘炎になる原因や対処法は?今後、ならないための予防法
子育てをしていると子供の抱っこや授乳、寝かしつけなど今までとは違う動きや手の使い方をすることが増えてきます。
これに伴い腱鞘炎になってしまい、痛みや違和感を我慢しながら日々の子育てに奮闘しているママもたくさんいるのが現状です。
今回は子育て中に腱鞘炎になってしまう原因や対処法などを保育士としての経験談も交えながら紹介していきたいと思います。
腱鞘炎になるとどうなるの?
腱鞘炎とは手首から手の甲にかけての筋に起きた炎症が原因で、手首を動かすと激痛が走ったり手指を思ったように動かすことができなくなったりする症状のことを指します。
腱鞘炎は手や手首が同じような動きを繰り返すことや、同じ部位に強い負担がかかることで発症します。
なぜ子育て中に腱鞘炎になってしまうのかというと、まずは出産前にはとらなかった姿勢や手の動きをして子どもを抱っこするようになるために
手首や手のひらに今までにはない強い力や負担がかかること、そして無理な姿勢を取り続けたり、赤ちゃんを手の力だけで支えたりすることも多いことが理由としてあげられます。
また慣れない間は子供を抱っこするだけでも「絶対に落とすわけにはいかない」「しっかりと身体を支えてあげないといけない」
というような緊張感から手には余計な力が入りやすくなります。
変に力んだ状態の手や手首にさらに大きな負荷をかけて過ごしているために、子育て中は手首や手の関節や筋肉に炎症が起きやすい状況にあるのです。
保育園で出会った腱鞘炎になったことのあるママの中には「激痛でフライパンも持てない」「手首が動かなくてドアノブが回せない」と困り果てている方もおり、
子育てはもちろん日常生活にも支障をきたしてしまうことが分かるかと思います。
腱鞘炎はすぐに治るものでもなく、一度良くなったからと言って同じ動きを続けていれば何度でも症状が再発するものなので、
悪化してしまった場合には整形外科で専門的な治療を受ける必要もでてきます。
子育て中に腱鞘炎になってしまう原因
子育て中に腱鞘炎になってしまう主な原因について3つに分けて説明していきます。
抱っこしながら何かをすることが増える
子育てをしていると、子供を抱きながら家事をしたり、電話をとったり、物をもったりという「抱っこしながらの動き」が大幅に増えます。
その時にバランスを崩さないように子どもを抱っこしている手の方に極度に力を入れてしっかりと支えることを多くのママが無意識にしていると思います。
このような姿勢をとって生活をしている内に抱っこしている方の手には大きな力と負担がかかり、今までにない刺激から炎症がおこる原因となってきます。
はじめは痛みではなく手首や手の甲の違和感や寝違えたときのような一定の動きをした時のみの痛みを感じる方も多く、「そのうち治まるだろう」と思って
特に気にすることなく手を酷使し続けると悪化の危険性もあります。
子供を抱っこで支えながらトントンしている
これはママをはじめ保育士としても腱鞘炎になる最も大きな原因といえるのですが、子どもを抱っこで寝かしつける際や
ぐずっている子をあやす際に抱っこして子どものお尻や背中を支えている側の手の手首だけを上下に動かして子どもの背中をさすったり、
トントンしたりする動きを断続的にしていることです。
この動きをすることですべての人が腱鞘炎になるわけではないのですが、
腕から下で子どもの体重を全て受け止めて力が入っている上にさらに手首だけを動かすことで利き手の手首は
血行が悪い状態にありながらも必死に関節だけを動かされることで関節や神経に負担がかかり、痛みなどの症状が出てきやすくなります。
ママにとって楽な姿勢が実は負担になっている
子育てをしていると、それぞれのママにとって「抱っこしやすい体勢や手の向き」「自分の感覚では疲れにくい楽な姿勢」が出てくるかと思います。
自分にとって楽な姿勢や手の向きで子どもを抱っこしたり、家事をしたりしているように見えても、身体にとってそれはとても負担のかかる動きや姿勢であることも考えられます。
また楽だと思っている姿勢が実はとても悪い姿勢であるにもかかわらず、身体がその状態で凝り固まってしまっている可能性もあり、
今は大丈夫でも疲労やストレスが積み重なった時に痛みや体調不良など様々な形で症状が一気に表れてくる危険性があります。
それに気付かずに痛みを逃すような楽だけれど身体にとっては間違った動きを続けていると手首の同じ位置にピンポイントで負荷がかかり続けて腱鞘炎になる原因となります。
腱鞘炎になってしまった時の対処法について
もし子育て中に腱鞘炎になってしまった時の対処法について3つ挙げて紹介していきます。
手首に負担のかかる動作を極力減らして安静にする
少しでも「手首を動かすと痛い」「いつもの動きをしているだけなのに腫れていて動かしづらい気がする」と異変に気付いたら、
出来る限り無理をせず症状の出ている方の手は使わないことが悪化を防ぐ最善の対応策です。
とはいえ子育て中は子どもの抱っこや寝かしつけで休むことなどできない場面も多いですよね。
その時には抱っこひもやバウンサーもうまく活用して親子共に無理なく過ごせるように工夫してみてください。
子育て中はママが倒れるわけにはいきません。早く治すことが先決ですので、身近に協力してくれる家族がいるのであれば遠慮せずに代わりに抱っこをしてもらったり、
お風呂に入れてもらったりして少しでも手を休ませる時間を作るようにすることをオススメします。
サポーターを使う
痛みが出てきてしまい、子育てに支障が出てきている場合にはひとまず手首を固定することで炎症や痛みが緩和されます。
あくまで緩和されるだけなので、無理は禁物ですがどうしても子供を抱っこしてあやさなければならない時など応急処置的な対処法としてサポーターは有力と言えます。
ドラッグストアなどでも手に入りますので、急に痛みが出てきた場合や周囲に子どもをお願いできる環境がなくママ一人で乗り切らなければならない場合などには
迷わず使用してみてください。合わせて湿布を貼ってみても良いでしょう。
医療機関を受診する
痛みが続いている、悪化している、手首が激痛で動かせないところまで症状が悪化してしまった場合には、迷わず医療機関を受診してください。
専門は整形外科ですが、病院に行くのに抵抗がある場合はまずは整骨院で相談してみても良いと思います。
どちらも正しい姿勢や手の向きの矯正、必要であれば電気や鍼を用いた治療を保険適用でしてくれるので、痛みを慢性化させないためにもひどい場合には医療機関を頼ってください。
「症状がいつ治るか分からない」「痛みの原因も治し方も分からない」ということはそれだけでストレスになります。
余計なストレスを除去するためにも、一度受診して処置をした方がママにとっても安心できるでしょう。
子育て中に腱鞘炎にならないようにするためには何をすればいいの?
子育て中に腱鞘炎になることを予防するためにできることを3つ挙げて紹介していきます。
利き手だけですべてこなそうとせず、両手をバランスよく使い分ける
毎日子育てをしているとどうしても利き手の方で安定して子どもを抱っこしがちになります。
もちろん安全に抱っこしたり、支えたりすることができるに越したことはないですし、ママが抱っこしやすい体勢の方が子どもも落ち着くのですが、
同じ側の腕や手にばかり重心をかけて子育てをしているとどうしても利き手にだけ疲労と負担が溜まり、腱鞘炎になりやすくなってしまうリスクがあります。
可能であれば左右どちらでも抱っこできるように時々手を変えて過ごすことを心掛けてみてください。
痛みや違和感を覚えたらすぐに休む
腱鞘炎はいきなり発症するのではなく、発症するまでに少なからずいつもとは違う感覚が手に表れます。
手首が回りづらい、いつもと同じように動かしていると痛みが出るといった初期症状がみられたら、
そのうち治るだろうと放っておかずにひとまず手を休ませて今以上に負荷をかけないように気遣うようにしましょう。
自覚症状のない場合でも、腱鞘炎のリスクが不安な場合にはたまに手首を回してみたり、
自分で触ってみたりしていつもとは違うところがないか確認する癖をつけておくのも良い予防策だといえます。
抱っこや寝かしつけなどの体勢を工夫する
同じ姿勢でも手首だけの力を使って子どもの身体を支えるのと、腰や下半身全体を使って同じように子どもの身体を支えるのとでは、手首にかかる負荷の重さが全く違ってきます。
力のかけ方やママ自身の立ち方、重心の置き方などを少し意識して変えていくだけでも、
手首への負担が分散されて腱鞘炎のリスクが減少するので、無理ない範囲で工夫してみてください。
腱鞘炎は子育て中のママなら誰にでもなる可能性あり!無理なく予防と対処を
腱鞘炎は子育てを頑張っているママなら誰にでもなるリスクはあります。
悪化してしまうと激痛だったり手首が使えなくなったりと大変なことも多いですので、
なるべく未然に防ぐように身体を大切にして無理のない抱っこや体勢で過ごすことを心掛けてみてくださいね。
もし腱鞘炎になってしまった場合には放置せずに然るべき対処法をとって早めの回復を目指すようにしてください。
必要に応じて医療品や医療施設の力を借りることも決して悪いことではありません。
身近な家族に頼れるところはお願いして、うまく休養を取りながら子育てを続けていけるようにしていきましょう。