保育園、地域交流の行事とは?〜ねらいや目的について〜

保育園、地域交流の行事とは?〜ねらいや目的について〜

子どもが保育園に通い始めると年間を通して様々な楽しい行事がありますよね。

 

 

最近では今まで以上に地域交流をメインにした行事を設定している園も増えていますので、

 

 

今回は保育園における地域交流がある行事とはどんなものなのか、

 

 

地域交流を取り入れるねらいや目的などについて、

 

 

実際に私が保育士として勤務した経験談も交えながら紹介していきたいと思います。

 

保育園における地域交流行事ってどんなものがあるの?

 

保育園では近隣住民の方や同じエリアに住む子育て家庭を対象にした

 

 

地域交流を目的とした行事を年間行事としていくつか設定しているところが多いです。

 

 

私が過去に勤務していた園では対象とする地域の方々の年齢や状況ごとに時期別に

 

 

分けた行事をいくつか取り入れていましたので、3つ挙げて説明します。

 

 

・ふれあいサロン

 

私の職場ではこのような呼び方をしていましたが、

 

 

保育園によって呼び方や行事名は違うかもしれません。

 

 

実施時期としては5月中旬〜後半にかけて、ゴールデンウィーク明けとなり新年度から

 

 

保育園生活も少し落ち着いてきたタイミングで、園児に限らず近隣に住んでいる

 

 

小さなお子さんがいる家庭や出産予定のある家庭を対象に保育園を解放して、

 

 

夏祭りまでの規模とはいかなくても簡単な飲食物を提供したり、ゲームコーナーを設けたりして

 

 

開催時間中であれば好きな時に保育園に遊びに来られるようにしていました。

 

 

当日は在園児も保護者の方と一緒に遊びに来ますので、保育園の雰囲気や子どもたちの様子も良く知ることができますし、

 

 

開催中は保育室の1室で子育て相談会や専門講師を招いた簡単なベビーマッサージや離乳食、

 

 

子どもの遊びなどテーマに分かれた講座も行なっていてどれも無料で利用することができて好評でした。

 

 

・昔遊びの会

 

私が過去に勤務していた職場では保育園の隣の敷地にデイサービスセンターがあり、

 

 

高齢者の方々が身近にいる環境だったこともあり、毎年冬休み明けのお正月シーズンにはデイサービスセンターの

 

 

職員の方と連携して、センターの高齢者の方々を保育園に招待して子どもたちに

 

 

カルタやコマ遊びなどの昔遊びを教えて一緒に遊んでもらう「昔遊びの会」という行事を実施していました。

 

 

子どもたちも普段はなかなか関わることのない近所のおじいちゃん、

 

 

おばあちゃんと触れ合って一緒に遊ぶことで普段保育士や友だちと遊ぶのとはまた違う新鮮な経験ができ、

 

 

高齢者の方々も子どもとたくさん遊ぶことができて力をもらえたと言っていただけて

 

 

毎年の人気行事のひとつとなっていました。

 

 

・運動会

 

保育園の運動会では在園児やその保護者の方々がメインとなって盛り上がる

 

 

内容になっていることはもちろんですが、私の保育園ではプログラムの中に卒園して

 

 

小学生となった元園児や在園児の兄弟、近隣に住んでいる小学生くらいまでの子どもを

 

 

対象にした誰でも参加OKのプログラムをいくつか用意し、参加賞などももらえるようにしていました。

 

 

毎年人気のプログラムは近隣の子どもたちだけでなく家族なら誰でも参加可能なパン食い競走と、

 

 

小学生の子どもたちが参加できるかけっこでした。

 

 

保育士たちも卒園児たちとの久々の再会を喜び、その成長に驚いたり、

 

 

来年入園予定の近隣の家庭の方と交流したりできるのとても良い機会となっていました。

 

 

地域交流を取り入れるねらいや目的は?

 

なぜ保育園では積極的に地域交流の機会を取り入れているのでしょうか。

 

 

ここではそのねらいや保育園側の目的を紹介します。

 

 

・保育園を地域の子育て支援の場とするため

 

近年では場所によっては公園や児童館など公共の場で親子が出会い関わったり、

 

 

悩みを相談し合うような場がほとんどないようなこともあり、

 

 

保育園が子育て支援の大きな役割をも担うようになってきています。

 

 

そこで定期的に保育園に足を運んでもらい、子どもを園庭で遊ばせたり、

 

 

子育て相談のイベントに参加したりすることで親子共に活動の場を広げ、

 

 

価値観やコミュニケーションの幅を広げることを目的としています。

 

 

・子どもたちに色々な人とのかかわりを経験し、成長してもらうため

 

保育園では子どもたちは保育士と同じクラスの子どもと毎日生活を送っているために、

 

 

安定した規則的な生活は実現できるものの、保育士が意識して行事や戸外活動の計画を

 

 

取り入れないとある種の閉鎖的な、限られた空間や生活になってしまうリスクもはらんでいます。

 

 

また最近では核家族化も進んでいるために祖父母ともそこまで頻繁には会えなかったり、

 

 

近所に同い年くらいの友だちがいなかったりして家庭だけで努力していてもなかなか

 

 

輪が広がらないという状況もあります。

 

 

そこで行事に近隣住民の方を招いて話を聞いたり、子どもたちも保育士や家族以外の大人と

 

 

触れ合ったりする機会を設けることで、子どもたちも刺激を受けて、そのかかわりや経験、

 

 

思い出を糧に精神的に成長し、多くの学びを得ることが期待できます。

 

 

・教育活動の一環として保育計画で設定したねらいを達成するため

 

保育園で子どもを預かり毎日子どもたちと一緒に生活する中で、

 

 

保育士たちは保育指針を元にクラスで達成したい内容をまとめた年間の保育計画や、

 

 

子ども一人ひとりの発達に合わせて段階的に保育のねらいを設定する個人指導計画などを用意しています。

 

 

その中には子どもの成長を見通した保育のねらいとして

 

 

「子どもの豊かな心と意欲を育むこと」や「相手に喜んでもらうことで達成感や思いやる気持ちを得る」

 

 

というような内容が人間関係を育むという分野に必ず含まれています。

 

 

ですので地域交流はこのような保育園を挙げての保育目標や担任保育士が

 

 

子どもに求める心の成長を実現するためのねらいを達成するためには必要不可欠な行事ともいえるのです。

保育園で地域交流行事をするメリット

 

ここでは保育園で地域交流行事を実施するメリットについて述べていきます。

 

 

・子どもの人格形成に大きな影響を与えることができる

 

地域交流として保育園外の大人や子ども、高齢者の方々と関わりをもつことは、

 

 

子どもにとって他者への信頼感が育つきっかけとなったり、「自分はこれで良いんだ」

 

 

という自己肯定感をもつことができるようになったり、

 

 

戸外遊びや昔遊びなどを通してたくさんの自然体験や原体験ができることにつながります。

 

 

これらの経験は保育園に通っているこの時期の子どもたちだからこそできることですし、

 

 

このような子どもの人格形成は乳幼児期に確立されることがほとんどですので、

 

 

保育園生活の中で自然と地域交流の機会を子どもに経験してもらうことで、

 

 

心身共に子どもたちは大きく成長することができます。

 

 

・近隣の方に保育園のことを知ってもらい、お互いに理解が深まる

 

保育園は基本的にはそこに通う在園児とその家族、そして保育士との閉じた空間であるとも言えます。

 

 

ですので定期的に地域交流ができる行事や外部の方も自由に出入りし

 

 

保育園の設備や講座を利用できる開放日などを設けることで、

 

 

近隣住民の方々も保育園に足を踏み入れるきっかけとなり、保育園の役割や、

 

 

普段子どもたちが保育士とどう過ごしているのか、保育士や子どもの雰囲気なども詳しく知ることができます。

 

 

保育園の内情を実際に自分の目で見て、行事を体験してもらうことで

 

 

「保育園て実際のところ日中は何をしているの?」

 

 

「たまにすごく騒がしい時があって理解ができない」

 

 

というような警戒心や不信感が無くなります。

 

 

また保育園側としても近隣にどういう住民の方が住んでいるのか、

 

 

保育園にどういう印象を持っているのかを知る貴重な機会となりますので、

 

 

地域交流をすることで相互理解を深めることが可能になります。

 

 

保育園で地域交流行事をするデメリット

 

ここでは保育園で地域交流行事を実施するデメリットについて述べていきます。

 

 

・様々な年齢の人が集まることで感染症のリスクもある

 

保育園は0〜6歳までの子どもが常に数十人、規模の大きなところでは100人規模で集まっているため、

 

 

手足口病やヘルパンギーナをはじめとする子どもがかかりやすく蔓延しやすい感染症はもちろん、

 

 

普通の風邪であってもどうしても感染が広がりやすい環境であるといえます。

 

 

そこに外部から来た子どもの集団に慣れていない近隣のお子さんや、

 

 

抵抗力の弱い高齢者の方々が来園され、保育園の子どもたちと近い距離で接触すると、

 

 

時期やその時の体調によってはウイルス感染や体調不良につながってしまうリスクがどうしてもついて回ります。

 

 

小さい子どもや高齢者は感染症が重篤化しやすく、命の危険にもつながりやすいため、

 

 

「ただの風邪でしょ?」と甘く見てはいけないのです。

 

 

ですのでいくら保育園行事に行くという予定があっても、子どもや高齢者の方々の体調が優れなかったり、

 

 

季節的に何かの感染症が流行しているようなタイミングだったりする場合には保護者や職員の判断で

 

 

交流を延期もしくは中止にすることもあり得ます。

 

 

・不審者対応などのセキュリティ管理を徹底しないとトラブルになることもある

 

交流行事には園内であらかじめ出席予定を取るなどして当日も決められた人たちに対して

 

 

決められたエリアでのみ行なわれるものもあれば、1日中出入り自由で園全体や付近の公園で大々的に行なわれるものもあります。

 

 

後者のような誰でも事前申し込みなしで参加可能かつ時間内であれば出入り自由の行事の場合には

 

 

不審者対策や参加者の荷物管理などを徹底しておかないとトラブルや最悪の場合には事故や事件の原因となってしまいます。

 

 

「保育園の行事だから安心」「親が少し目を離してしまっても保育士の先生たちもいるから大丈夫だろう」

 

 

というように過信せずに、自分の子どもや貴重品からは目を離さないようにする最低限の注意が必要です。

 

 

子どもにとってもメリットが多いので都合をつけて参加して

 

保育園における地域交流は子育て家庭、卒園児や近隣の小学生、

 

 

高齢者といった対象それぞれに合った内容で様々な行事が保育園ごとに実施されています。

 

 

近隣住民の方をはじめとする外部の方も参加できるような保育園の行事は

 

 

保育園のホームページや地域の掲示板、役所や子育て支援センターの掲示板にも情報が公開されていますし、

 

 

保育園に直接問い合わせても教えてもらうことができます。

 

 

多くの人が集まり、人混みになることも予想されるので感染症やセキュリティ上のリスクもありますが、

 

 

それ以上に得るものが大きい経験になると言えますので、

 

 

ぜひ無理のない範囲で保育園の交流行事に参加してみてくださいね。