保育園までが遠いのは大変?現役保育士が語るメリット、デメリット
毎日朝早くから夕方遅くまで子どもが通う保育園、仕事をしながら決められた時間までに送迎する保護者の方からしてみれば保育園と自宅、そして職場の位置関係はとても重要です。
子供が通う保育園が生活圏内にあることや、自宅から近いことは保育園を選ぶ際の条件にもなるかと思います。
しかし中には自宅や職場から保育園までの距離があり、比較的遠いとされる場所にある保育園に子供を預けている家庭の方もいます。
そこで今回は送迎にあたって保育園までの道のりが遠い場合に通わせるのは大変なのか、
またメリットはあるのかなどについて私の保育士としての経験談も交えながら紹介していきたいと思います。
遠くの保育園に通園する理由とは?
保育園までの道のりが遠くなってしまう理由は以下の3つがあげられます。
近所の保育園の入園希望が通らなかった
近年では共働き家庭の増加に伴う待機児童の増加が問題になっている背景もあり、誰もが希望した時期に第一希望の保育園に入れるわけではないのが現状です。
入園に向けては定められた期日までに所定の手続きを踏んで希望する入園先を第5希望くらいまで挙げて提出し、
そこから審査に通って受け入れ枠に入ることができた家庭から順番に入園先が振り分けられます。
最近では一次選考でどこにも入れず、入園年度ギリギリまで二次選考を行うことも多く、
希望園が埋まってしまっていればやむを得ず自宅から通える範囲を広げて入園先を見つけるしかありません。
このような流れで「とにかく保育園に子どもを預けたい」という思いが優先され、距離の問題は妥協されてエリアが広がっていくために保育園までが遠いところに通うこともあります。
遠い以上に保育方針や環境が魅力的だった
各家庭には多様な子育て観や価値観があり、子どもに習得してもらいたい能力や身に付けてもらいたい生活習慣など何を重要視しているかは異なります。
「広い園庭がある」「駐車場がある」といった環境面の魅力はもちろん、最近では保育園ごとに「食育に特化している園」「スポーツ教室が併設されている園」
「音楽や英語などの講師がいる園」というように保育プラスアルファの付加価値をつけることで他の保育園との差別化を図っているところも多くあります。
ですから実際に見学や説明会に出向いてみて、園の雰囲気や方針が自分の家庭や子どもと合っているかどうかを見定める中で
「どうしてもこの保育園に通いたい」という気持ちが湧くこともあると、多少遠くても送迎の時間を調整して入園するようなこともあり得ます。
保育園在園中に転居した
これは元々在園先の保育園に近いところに住んでいたけれど、異動や転職、また家庭の都合などによって同じエリアだけれど違う場所に転居して物理的に距離が離れる場合です。
もちろん転居に合わせて保育園も転園することも可能ですが、子どもの友達関係や生活環境の変化に配慮して
卒園までは同じ保育園に通わせてあげたいと思う保護者の方の気持ちで送迎に距離や時間がかかっても遠くの保育園に通園することを選ぶという形です。
自宅から遠い保育園でも入園できるの?
保育園の入園に関しては先に述べたように最終決定は保育園ある地域を管轄する役所が担当します。
審査項目は家庭の環境や両親の就労状況、両親の実家の情報などがあげられ、子どもを取り巻くあらゆる要素を総合的にみてその家庭にとっての保育園の必要性が判断されます。
審査に通らなければ元も子もないのですが、逆に審査に通れば希望した保育園の受け入れ枠のどこかには必ず入園することができます。
もちろんそれが自宅や職場から遠い保育園であっても、そういった希望を家庭として出し、正当な理由だと判断されれば問題なく入園することができます。
自治体や役所によっては距離の遠さを指摘してきたり、疑問視してきたりすることもあるかもしれませんが、しっかりとした理由やその保育園を選んだ背景を述べられれば大丈夫です。
心配なようであれば事前に遠い保育園に入園した場合の送迎の方法や手段、
緊急時に職場から向かう時にかかる時間や祖父母の協力の有無などをしっかり確認しておくことをオススメします。
遠い保育園に通わせるメリット
遠い保育園に通わせるメリットは以下の3点があげられます。
家庭内での過ごし方や送迎の時間を調整することができる
遠い保育園に通うには、その分家を早く出て登園したり仕事を定刻通りに切り上げてお迎えしたりすることが必要です。
そこで「帰宅後は夕食を食べてお風呂に入って9時には眠る」「お迎えがあるから仕事は効率よく済ませて残業はしない」というように
親子共に生活リズムにメリハリがつき、家事や子どもの送り迎えに関しても家族で協力して臨機応変に助け合える環境が自然と整ってくるようになります。
近隣に祖父母の家がある家庭の場合には、時には祖父母の力も借りながら生活する機会も増えるかと思いますので三世代でコミュニケーションをとる機会も多くなることが期待できます。
通園にバスや電車など公共機関を使うことができる
大人目線で考えると「どこがメリットなの?」と思う方がほとんどかもしれません。
しかし子どもにとって電車やバスをはじめとするいわゆる「乗り物」は普段はなかなか見たり乗ったりすることができない憧れの乗り物なのです。
もちろん、仕事が忙しく疲れている日などは徒歩や車での送り迎えの方が楽で良いと感じることもあるかと思いますが、考え方を変えれば子どもたちにとっては
「毎日電車やバスに乗れる」「車掌さんに会える」「道中で他のはたらく車も見られる」とワクワクする要素が盛りだくさんなのです。
毎日の行き帰りの道のりに楽しみがあることで、子ども自身も積極的に保育園に通うきっかけになることが見込めます。
寄り道や散歩を楽しめる
自宅から保育園までの距離があるということは、道中にある公園やお店などに寄り道をして保育園帰りにママやパパと触れ合って過ごす時間が増えるということです。
急いでいるときもとは言いませんが、子どもも保育園で両親と離れて一日頑張っていますので体力や時間にゆとりのある時には
なるべくたくさん子どもとかかわって遊んだりお話しをしたりしてほしいと思います。
保護者の方にとっても家のそばにはない穴場のお店や落ち着いて遊べる雰囲気の良い公園を開拓するきっかけにもなるはずです。
また保育園帰りにさらにたくさん歩いて遊んでから帰宅することで程よい疲れが溜まると、夕食の食べ進みも良いですし、
夜も早めにぐっすり眠ることができて子どもにとっては健康的な生活リズムが身に付くことも見込めます。
遠い保育園に通わせるデメリット
遠い保育園に通わせるデメリットは以下の3点があげられます。
送り迎えに時間がとられてしまう
物理的に距離が離れているため、送り迎えに時間や手間がかかります。
通園手段が車であれば道路状況、バスや電車などであれば遅延などが原因で思うように移動できない日もあるかと思います。
保育園を経由して遅れないように職場に行くことを考えると朝はかなりバタバタすることも考えられますので、時間に余裕をもって行動する心がけが必要です。
万が一遅れる場合には保育園と職場の両方への連絡も忘れずにしておきましょう。
緊急時にすぐ迎えに行くことができない
子どもの体調は変わりやすく、急変や悪化もしやすいため保護者の方に早急な対応や迅速なお迎えをお願いすることもあります。
保護者の方も子どもの元気がない時には心配ですしなるべく早く受診して家で休ませてあげたいという気持ちが強いかと思います。
しかし保育園が遠い場合には辛い思いをしている子どもをすぐに迎えに行くことも、
自宅に連れて帰ることも近隣の保育園に通っている家庭よりも時間がかかってしまうので大人側も不安からやきもきしてしまう可能性があります。
自宅や保育園のそばに両親や親戚がいて協力を頼める場合にはあらかじめお願いしておくなどして対処法を考えておくことが望ましいです。
行き帰りで子どもが疲れてしまい、家庭でリラックスして過ごす時間が短くなる
保育園までの道中が長距離になればなるほど、子どもが自分で歩く距離も長くなり疲れます。
時には体調が悪かったり、朝から気分が乗らなかったりする日もあると思いますが、そのような場合には子どもが道中でぐずり出したり、
抱っこせざるを得なくなったりする可能性が考えられます。
そうなると保護者としてもスムーズに移動できずイライラしてしまい、親子共に疲労困憊した状態での帰路になってしまいます。
ママは帰宅してからも子どもの身の回りの世話だけでなく、家事に料理に自分の身支度とやることはたくさんありますので
時間に追われて家族とゆっくり過ごすことが後回しになってしまいがちになります。
遠い保育園に通うメリットデメリットをよく考えて決定を
保育園は基本的には審査に通ることで希望したどこかしらの園には入園することが可能です。
距離を重視するかしないかもそれぞれの家庭の考え方ですから自由です。
しかし一度入園すると簡単には変更したり、転園したりすることはできないので、事前にメリットとデメリットをしっかりと把握してじっくり考えてから決めた方が良いでしょう。
子どものためにも保育園決めは焦らず慎重に行なって、親子共に楽しく充実した保育園生活が送れるようにしてみてくださいね。