保育園で牛乳はいつ飲む?飲ませたくない時は?現役保育士の経験談
子どもの保育園生活が始まると、食事やおやつのタイミングで毎日牛乳を飲む習慣を取り入れている保育園も多いです。
しかし保護者の方の中には積極的に子どもが牛乳を口にすることをあまり良いとは思わない方もいることでしょう。
そこで今回は保育園で牛乳を子どもに飲ませたくない場合にはどうすれば良いのか、
家庭でできることや保育園の対応などについて実際に保育士として勤務している際の経験談も交えながら紹介していこうと思います。
保育園では牛乳はいつ飲むの?
ほとんどの保育園では毎日の生活の中で「登園後の朝のおやつの時間」と「お昼寝から起きた後の午後おやつの時間」に牛乳を飲む習慣をつけています。
子どもの年齢や発達によって牛乳の量は違いますが、大体1回に飲む量として用意されているのは子ども用のコップの半分から1杯程度となっています。
牛乳を飲み始める時期としては0歳児クラスの後半からが一般的といえ、
卒乳でミルクを飲まなくなるタイミングで牛乳に切り替えて少しずつでも飲めるように進めていくようにしています。
保育園で牛乳を飲む理由として水分補給はもちろん、成長に必要な量のカルシウムをきちんと摂取するためという部分が大きいとされています。
ですので始めは味に慣れずに飲まない子でも、毎日継続して少しでも口に含み、
味に慣れることで長い目で見て牛乳を飲めるように進めていく保育園が私の知る中でもほとんどでした。
牛乳に関しては「成長のためにも飲んでもらいたい」という保育園の方針や要望もあれば、
「無理に飲ませる必要はないのでは?」という保護者の方からの意見もあります。
実際にママやパパの子育て観や価値観によっては「毎日牛乳を飲む必要性を感じられない」
「家庭でも牛乳はあまり飲ませていないので保育園でも飲ませて欲しくはない」とい疑問や意見をいただくことがありました。
しかしやはり「保育園は集団生活の場であり、牛乳を飲むということは保育園全体の方針としても決められているので個別に対応することはそれなりの理由がないと
できない」という形で丁寧に事情を説明して除去をお断りし、保護者の方々に理解をしてもらわなければいけないという状況も現実にはあるので悩ましい点ではあります。
子どもに牛乳を飲ませたくない場合はどうする?
子どもが牛乳を摂取することに対して、親の一方的な要望や価値観だけでなく、実際に家庭で子どもの様子を見たり体調管理をしたりする中で
「保育園でも子どもに牛乳を飲ませたくないなあ」と思うようになるそれなりのきっかけや要因ももちろんあります。
ここでは保育園で子どもに牛乳を飲ませたくない場合に保育園に対して正当な理由としてアピールできる内容を3つ挙げて紹介します。
・乳アレルギーである
様々なアレルギー源がある中でも、牛乳をはじめとする乳製品アレルギーの子がいるのは珍しくありません。
大抵は家庭で牛乳を初めて摂取した時に、口の周りに赤みが出たり、皮膚に発疹が出たりすることで両親が異変に気付き、
病院で適正なアレルギーチェックを受けることで発覚します。
この場合には「牛乳を飲ませたくない」というよりは「重篤なアレルギー反応のリスクもあるので絶対に飲んではいけない」という対応になってきます。
家庭ではもちろん、集団生活の場である保育園にも速やかに報告して、今後の対応を相談すべき内容ですので迅速に保育園にも知らせてください。
・乳糖不耐症である
乳糖不耐症という名称は聞き慣れないと良く分からないと思いますが、簡単に言うと
「牛乳など乳製品に含まれる乳糖という成分を身体の中でうまく消化することができない体質」の
ことを指し、摂取した際にみられる症状としては「乳糖の消化不良による下痢、ひどい場合には吐き気や嘔吐」が見られます。
アレルギー症状ではないので、命にかかわるほどの重篤な反応や症状は出ないものの乳製品を摂取するたびにお腹が痛くなったり、
吐いてしまったりするというのは子どもにとってはとても辛くて苦しいことですよね。
乳糖不耐症は乳児でも体質として持っている子がいるため、最近では乳糖不使用の粉ミルクなども販売されていたりと少しずつ認知され広まってきているといえます。
もし家庭で子どもが乳製品を摂取するたびにお腹を下しているようであれば乳糖不耐症かもしれないと考えてみて、症状が改善しないようであれば受診することをオススメします。
保育園にもその旨を伝えてもらえれば、牛乳を飲むことを控えられることにつながるでしょう。
・牛乳を摂取することで何らかの体調不良が毎回起こる
子どもが牛乳ではない別のアレルギーを持っていたり、乳児湿疹がひどい時期であったり、
生まれつき皮膚が弱いお子さんであったりといった時に、牛乳が直接的な要因ではなくても、牛乳を飲むことで皮膚に赤みが出たり、
かゆみがひどくなったりすることが可能性としてはあります。
これは牛乳に含まれる豊富な動物性たんぱく質や脂肪が、元々の体質や日々変わる子どもの体調によっていつも以上に過敏に体内で反応してしまい、
皮膚に赤身やかゆみとなって表れてくると考えられています。
この場合には子どもの体調が良くなったり、体力や免疫力が付いてくることで徐々に強い反応は出なくなってくるので一時的な症状とはいえますが、
その間だけでも牛乳を飲むことで子どもの身体への負担が増えるのであれば「牛乳を飲むことを控えたい」と思うのも当然ですよね。
牛乳を飲ませたくない場合に家庭でやるべきことについて
ここでは保育園で牛乳を飲ませたくない場合に家庭でしておくべき対処法を3つ挙げて説明していきます。
・病院で診断書をもらう
アレルギーや乳糖不耐症であれば受診した医療機関で診断書を出してもらうことができます。
受診する医療機関は子どものかかりつけの小児科があればそこでも良いですし、皮膚科や内科でも問題ありません。
医師の適格な診断により、正当に「この子に牛乳を与えることは望ましくない」という結果になれば、その旨が診断書には疾病名と共に記載されます。
ですので診断書さえあればそれを保育園に正当な理由を添えて提出することで、子どもへの牛乳の提供は防げることになります。
ただ医療機関で診断書をもらう場合には受診した医療機関によって安くても500円、高いところだと3000円程度費用がかかりますので、
不安な場合には事前に電話などで診断書を出してもらう際にかかる費用も確認しておくと良いでしょう。
・保育園からもらった指示書に記入して提出する
先に述べたように病院でアレルギー等が原因で牛乳を与えることが望ましくないと診断された場合には、そのような診断が下りたことを保育園に伝えた上で、
保育園側がアレルギー児をはじめとする子どもたちの食事管理のために用意している公的書類も記入して提出しないといけません。
多くの保育園では除去食など家庭からの要望で保育園で提供してほしくない食品や食材がある場合に書く書類を「指示書」と呼びます。
記入事項や形式は園によって多少の違いはありますが、基本的には該当児の名前や生年月日、保護者の名前、
そして除去してほしい食品の正式名や診断されているようであれば疾病名を記入し、
最後にはそのように診断した医療機関の名称や連絡先も記入する欄があるので、そこも間違えずに記入しましょう。
園によっては診断書と一緒にこの指示書を提出すれば良いところもあれば、
「診断書だけで良いと思っていたら指示書の中にも担当医のサインや社判、症状説明が別途必要だったので
二度手間になってしまった」というところもありますので、受診する前に「アレルギーかも?」と思うようであれば
担任保育士や園長に相談して、先に指示書をもらっておくという方法も考えておくと良いでしょう。
・家庭での牛乳の位置づけや両親の牛乳に対する価値観をはっきりさせ、保育園側と話し合えるようにする
上記のようにアレルギーやそれに準ずる疾病などがある場合には正当かつスムーズに保育園でも牛乳を除去することができます。
しかし中には家庭の方針などから「特に子どもに除去しないとならない要因はないけれど飲ませたくない」と思う保護者の方もいますよね。
その場合には保育園に対してクレームのように一方的にその要望だけを押し付けることは逆効果です。
家庭での方針や牛乳に対してどういう思いがあって、子どもに飲ませたくないと思っているのかを明確かつ丁寧に説明し、
保育園側に対しても「迷惑をおかけしますがお願いします」というような姿勢で真摯にお話しをしてお願いをすれば、
保育園としてもその思いを汲み取り、家庭と連携して解決策を考えてくれると思います。
とはいえ新年度となり、保育が始まってしまうとどうしてもバタバタしてしまうので、
「保育園で牛乳を飲む習慣がある」ということが説明会や見学会などで事前に分かっている場合にはその時点で質問や家庭側の要望を園長に伝えてもらい、
早めに面談の場を設けてもらった方が混乱せずに済むと思います。
牛乳を飲ませたくないという家庭に対する保育園の対応について
実際に保育園で「うちの子には牛乳を飲ませないでほしい」と言われた場合にどのように対応していたのか、飲ませたくない理由ごとに私の経験から3パターン紹介していきます。
・子どもがアレルギーや乳糖不耐症だった場合
この場合には保護者の方から提出された診断書と指示書の内容に沿って、牛乳を保育園では絶対に与えないようにします。
私がいた園では牛乳の代わりに豆乳を提供するようにしていました。
その際も誤飲やご提供防止のためにその子が座るイスやテーブルは毎回丁寧に消毒し、専用の食器を用いて特定の保育士が提供から片付けまで一貫して対応するよう徹底していました。
保護者の方ともその都度子どもの体調の変化や顔に出る赤みなどについて情報を共有し合い、
受診の状況やアレルギー検査の結果などもこまめに確認して協力して子どもをみていくよう配慮するように努めました。
・アレルギーなどではないが、子どもの体調が悪い場合
風邪や寒暖差、病み上がりなどによって一時的ではあっても体調がいつもとは違い子どものお腹の調子がよくなかったり、便がゆるかったりすることもよくありますよね。
そのような場合には朝の送りの際や連絡ノートでそういった症状があることと「今日だけ牛乳を控えて欲しい」ということを担任保育士に伝えてもらうことで、
私の勤務先ではその子に対して「その日だけは牛乳をやめて麦茶の提供にする」と臨機応変に対応するようにしていました。
せっかく治りかけた体調がまた崩れても大変ですし、お腹が痛くなってしまっては保育園生活が辛くなってしまうので、
子どもの体調を第一に考えて保護者の方と相談して判断することが多かったように思いますし、
「お腹の調子が優れないときに消化の悪いものや乳製品は避けたい」という気持ちは大人だって同じですよね。
保護者の方の中には「保育園では牛乳を飲むのが当たり前」と理解されている方も多いかと思いますが、
子どもの体調によっては「その日だけ」「今週だけ」というような形で控えることもできますので、
子どもの体調面で不安があれば些細なことでも保育士に伝えてもらえると有難いです。
・家庭の方針などから牛乳を飲ませて欲しくないという意見があった場合
アレルギーや診断書がない場合の牛乳除去の要望の対応に関しては保育園によっても園長の方針によっても様々ですので
一概に「要望は全てお断りされる」「お願いさえすれば受け入れてもらえる」というようには言えません。
ただ私の勤務先では保育園の方針としては牛乳を飲んでもらいたいという思いがあることをきちんと説明した上で、
それでもなお「どうしても牛乳は飲ませないでほしい」と強く望まれる家庭のお子さんに対しては、牛乳を提供せずに麦茶や豆乳で対応することが認められていました。
特に子どもが乳児の場合には子どもの食生活や口に入れるものに非常に敏感になる保護者の方も多いので、
このような要望がある場合には担任保育士だけで判断せずに一度園長や主任保育士、栄養士も含めて面談を行なってから対応を決めていくようにしています。
もちろん子どももどんどん成長していきますので、もしかしたら園生活の中で子どもの方から自発的に
「牛乳を飲みたい!」と言うようになるかもしれませんし、他の子が牛乳を飲んでいるのを見て「どうして自分だけ牛乳じゃないの?」と違和感を得るようになるかもしれません。
そのような姿が見られるようになった際にはその様子を保護者の方にお伝えし、牛乳の提供についての内容をその都度見直していくようにしていくよう配慮していました。
以上のように保育園ごとに牛乳を除去するにあたっての対応やガイドラインが定められていますので、
ここに挙げた以外の対応もあるかもしれませんし、保育園や保育士によって伝え方やとらえ方も違うかもしれませんので、
そこは子どもが通う保育園にしっかりと確認しておくことが望ましいです。
保育園で牛乳を飲ませたくない場合には正当な理由が必要!
保育園で牛乳を飲ませたくない場合には医師の診断書、もしくは子どもの体調に明らかな異変があると分かれば牛乳を除去することが可能です。
家庭でも子どもの様子や体調の変化をよく見るようにし、必要に応じて早めに受診やアレルギー検査を受けておくと心配ないでしょう。
また、そうでなくても牛乳を避けたい場合には保育園側ときちんと話し合う姿勢が大切です。
子どもの園生活の充実のためにも、保育園は子どもや保護者に対して理不尽なことはしたくありませんので、何か問題があれば一緒に解決していきたいという考えのはずです。
もし分からないことや不安なことがあれば早めに信頼できるママ友や担任保育士、園長に相談してみてくださいね。