保育園での水分補給、飲ませる回数やタイミングは?園での経験談
水分補給は大人も子どもも関係なく定期的に適度な量を摂ることが大切ですよね。
特に外気温が高く汗をたくさんかくような季節には水分補給の頻度をあげてこまめに水分を摂ることが体調管理の一環としても重要です。
しかし家庭では徹底していても、子どもが日中通っている保育園ではどうしているのか、ママとしては心配なところもあるかと思います。
そこで今回は保育園での水分補給のタイミングや回数、その役割などについて、保育士としての経験談も交えながら紹介していきたいと思います。
保育園での水分補給の役割について
保育園ではこまめな水分補給を心掛けています。
ママの中には「戸外に出て遊んだり、たくさん汗をかいて疲れている時などは分かるけれど、
室内にいるときもそんなにこまめに飲んでいるの?」と不思議に思う方もいますが、
保育園の水分補給には身体を潤すということ以外にも多くの役割があります。
・喉を潤して体内の水分を補うため
これが水分補給の主な役割であり、喉が渇いたら水分をとる最大の理由でもあるといえます。
たくさん動いて疲れた時や、汗をかいて喉がカラカラな時、
気温の高い環境にいた時などその時々の状況に応じて必要な分だけ水分を摂るよう心がけます。
・口の中の乾燥を予防するため
これは戸外、室内問わず外気やエアコンの影響で乾燥している環境にいる場合に、
鼻や口の粘膜も乾いてしまうために水分補給でうるおいを補うという理由です。
口の中や鼻の粘膜が乾燥していると咳やくしゃみが出やすくなり、鼻や喉の奥に付着した空気の汚れや花粉、
ウイルスなどを洗い流す作用も低下してしまうために体調不良を起こしやすくなるということも考えられるので、
例え汗をかいたり、喉が渇いたという自覚症状がなくても水分補給は行います。
・感染症予防や悪化防止のため
これは先述した口腔内の乾燥予防とも関連しているのですが、
保育園内で風邪や感染症が流行している時などは特に室内の温度と湿度のバランスを調整し、
こまめに水分をとって粘膜を潤す役割を持っています。
また既に少し風邪を引いたり体調を崩している子どもは鼻水やよだれなどが大量に
体外に出ることで体内の水分が不足しがちなことが多いので、多めに水分補給をする必要があるのです。
保育園ではいつ、どのタイミングで水分補給しているの?
私が勤務していた保育園では園で用意した麦茶は常に保育室内の涼しいところに置いてあり、
子どもが欲した時には好きにコップを使って飲めるようになっていました。
そういう意味では保育園ではいつでも自由に水分補給ができるということになるのですが、
他にも全体の保育の動きの中で水分補給を一斉に行うタイミングがいくつかありますので時系列に分けて説明していきます。
・朝おやつの時
子どもたちが全員登園する9時〜9時半の間に保育園では朝おやつとして牛乳を飲む時間があります。
基本的には牛乳の提供だけですが、保育園によってはごく少量ですが赤ちゃんせんべいや
ビスケットのような食事が牛乳と共に提供されるところもあります。
この時に食事の最後に必ずコップ一杯の麦茶も提供するようにしており、
子どもたちがこれからの活動に備えてきちんと水分を摂れるように配慮しています。
・午前中の主活動が終わった時
主活動とはクラスごとに行う製作活動や戸外散歩、公園遊びなどの一斉活動のことを指します。
子どもたちの年齢によって活動時間や場所、内容は様々ですが、時間としては10時から11時くらいで設定されていることが多く、
この主活動が終わって子どもたちが集合し、次の活動に移るまでの間のタイミングで2回めの水分補給をします。
戸外に行く際にも子どもの人数分のコップと大きな水筒に入れた麦茶は必ず持っていき、どこでも水分補給ができるようにしています。
・給食の時
給食の時間は食事を摂ったあとに必ずコップ一杯もしくは二杯の麦茶を飲んでからトイレを済ませてお昼寝に移るようにしています。
・午睡明け、おやつの時
お昼寝中は汗をかいたり、オムツに排泄をしたりしていて知らない内に身体から水分が出ている状況ですので、
午睡明けの水分補給は特に量を多めにとれるようにしています。
おやつの時間でもあるので、楽しく食事をしながら牛乳やお茶をおかわりして子ども一人ひとりが満足できるまで水分を摂れるよう配慮します。
・夕方の自由遊びの時
夕方以降は子どもたちが順次降園していくので、自由遊びの中で特に遅くまで園で過ごす子どもたちを中心に時々声をかけながらお茶を飲む機会を作っています。
このように一斉に水分補給をするタイミングだけでも1日の中で2時間おきに最低5回はあるのです。
もちろんこのタイミングで喉が渇いていなかったり、積極的に水分を摂ろうとしたがらなかったり
する子もいますので一斉の水分補給の時間だからと言って無理強いはしませんが、
その時にあまり水分を飲まなかった子は覚えていて個々に「お茶飲む?」と声をかけるようにして飲める時に飲んでもらうようにしています。
季節や子どもによって水分補給の回数は違う?
先述したように保育園では1日の中でかなり多くの水分補給のタイミングを設けていますが、
これは時期や子どもの年齢によって少しタイミングや回数が変わることもあります。
例として3つ挙げて説明します。
・夏と冬は特にこまめな水分補給を徹底する
夏場は外気温が高くただでさえ喉が渇くので、熱中症や脱水を防ぐために
もとにかくこまめな水分補給と室内の温度管理を徹底します。
冬は外気温は低く寒いのですが空気が乾燥しており、感染症が大流行しやすい時期でもあるので、
このような理由から水分補給の回数や頻度を高めています。
春や秋など過ごしやすい季節は一斉の水分補給の時間を目安にして麦茶を提供しています。
・体調不良の子どもには個別の対応を
咳がひどく食事があまり進まない子や、鼻水が出ていて呼吸が苦しそうな子など、
保育園には様々な体調不良状態の子どもがいます。
中には下痢や嘔吐を繰り返していて脱水のリスクが高い子どももいるため、
そのような子に対しては麦茶だけでなく経口補水液と呼ばれる少しの塩分と甘味が入った飲料を特別に提供することもあります。
体調不良の子の場合には病児保育をしていたり、他の子どもとは違う過ごし方をしていることも多いので、
1人の保育士もしくは看護師がそばについて、子どもの様子や機嫌に合わせて
「飲めそうなときに飲む」ということを大切にしていますので、時間や量を決めずにその都度飲める環境を作っています。
・乳児クラスでは子どもの様子に合わせて一斉水分補給の回数を増やす
幼児クラスにもなると、自分自身の喉の渇きや体調不良などをある程度察知して、
自分の意志や思いを保育士に言葉で伝えたり、必要な時には自分の力で水分補給をすることができますが、
1,2歳児といった乳児クラスの子どもたちではそうはいきませんよね。
言葉の発達もまだまだですし、「喉が渇いた」「なんだか暑い」「体調がおかしい」というようなことを自覚しづらく、
また気付いたとしても言葉で的確に大人に伝えることが難しい段階といえます。
そのために乳児クラスでは子どもたちの汗のかき方や体温、顔色の変化などをよく見て、
子ども一人ひとりに合った水分補給の回数やタイミングを決めて臨機応変にしていることが多いです。
子どもの様子や体調に合わせていつでも自由に飲めるように配慮を
保育園での水分補給のタイミングとしては一斉に行うものと、個々に合わせて行うものに分かれていますが、
たいていは1日の中で1〜2時間おきにこまめに飲めるように時間や環境が設定されています。
基本的に保育園で摂取する水分は麦茶になりますが、子どもの体調や状況によっては経口補水液などを
併用して摂取できるための準備は整えられており、常温で放置した麦茶を飲み続けるようなことは
しないように衛生的にもしっかりと管理されています。
保育園での水分補給には、ただ水分をとって喉の渇きを解消するという役割以外にも、
感染症予防であったり、風邪の悪化対策であったりと様々な実践的な効果も期待されています。