保育園の加配、条件や基準とは?加配保育士がつく3つのメリット

保育園の加配、条件や基準とは?加配保育士がつく3つのメリット

保育園では子どもに対して保育士を加配するという対応がありますが、保護者の方からしてみれば聞きなれない言葉であると思います。

 

 

今回は加配とはどういうものなのか、どういった場合に加配措置になるのか等について実際に保育士として勤務した中での経験も交えながら

 

 

分かりやすく説明していきたいと思います。

 

保育園における加配ってどういうこと?

 

保育園における加配とは、障がいのある子どもに対して担当として保育士を1人多く配置する措置のことを言います。

 

 

通常は保育園の人員配置に関してはクラスの定員やお預かりする子どもの年齢によって国や保育指針で厳密に定められているものですが、

 

 

クラスに障がいをもつと認められる子どもが在籍している場合はこの限りではないのです。

 

 

加配につく職員ももちろん保育士資格をもつその保育園所属の保育士であり、加配対象となる先天的な発達障がいなどが要因でクラスの流れに付いていけない子どもや

 

 

他のクラスメイトと同じことを同じようにすることが難しい子どもというようなサポートが必要な子どもに1対1でついて保育園における生活を援助することが通常業務となります。

 

 

業務内容は子どもの障がいのレベルによっても異なるのですが、主に食事の介助や衣服の着脱、活動が変わる時の誘導などをすることで、

 

 

加配対象の子どもが戸惑ったり、ストレスを感じたりすることを少しでも減らして楽しく保育園で過ごしてもらえるように努めることといえるでしょう。

 

 

配置に関しては子どもの普段の様子や発達からみて、加配をつけるかどうかという判断は基本的には保育園が主となって決めることができますが、

 

 

実際には保護者の方の理解や医療もしくは療育機関の専門家の方との連携などが必要となる複雑な措置であるといえます。

 

 

加配になる条件や基準とは

 

加配が認められる条件や基準は対象となる子どもの障がいの度合いにもよりますし、判断基準はその保育園を管轄する市町村や自治体などによっても異なるのが現状です。

 

 

基本的には対象となる子どもが障がい児と診断されている結果があること、そして加配の必要性が役所の審査により認められることがあげられます。

 

 

しかし障がいに関しては非常にグレーかつデリケートな部分であるために簡単に「障がいがある」と断言や認定をすることを避ける傾向にあり、

 

 

すぐに加配がつくことを見込めない場合も保育の現場では多くありました。

 

 

保育園によっては国や自治体の認可を受けていたり、公立の保育園だったりすると一定の配置条件を満たすことで補助金が支給されるため、

 

 

園としても人件費に充てて加配をつけやすくなるといったところもあります。

 

 

しかし実際には補助金の有無や加配措置の申請可否などを待たずに、

 

 

クラスに「気になる子」「障がいとまでは言えないけれどグレーな子」がいると担任保育士が認識した時点で例えば「他の子よりも圧倒的に発達が遅い」

 

 

「クラスの活動について来れていない」というようにその子の存在がクラス運営に影響を及ぼすようなことがあれば園長の判断でヘルプ保育士がついたり、

 

 

非常勤の保育士を雇用したりと独自の対応をしているのが事実です。

 

 

私が勤務していた横浜エリアの認可保育園においては「障がい児3人に対して保育士1名の加配を認める」と定められていました。

 

 

この決まりに則って加配を認められる条件としてあげられるのは「自閉症と診断され、療育手帳をもつ子」「ADHDと診断され、療育手帳をもつ子」となっており、

 

 

基本的には専門機関で子どもが障がい認定を正式に受けなければならないということになります。

 

 

つまり加配のために「専門機関で障がい認定を正式に受ける」ということは担任保育士ではなく子どもの家族が積極的に動いてくれないと進められない案件といえます。

 

 

保護者の方の中には「子どもの発達に違和感を覚えていても、まさかそれが障がいだとは思っていない」「自分の子が障がい児だと認めたくない」

 

 

というような考えを持っている方も少なからずいらっしゃいます。

 

 

保育士は医者ではないのでお子さんの症状や障がいに関して断言することは決してできませんが、

 

 

知識や経験を元になるべく保護者の方の理解を得られるように子どもの様子や園での姿を丁寧に伝えるようにはしていますので、

 

 

後は家族の方の判断にゆだねられるところが大きいというのが現状です。

 

 

私が勤務していた保育園では月に一回役所の心理士さんや発達支援センターのスタッフの方がクラスごとに巡回指導に来てくれ、

 

 

そこで気になる子のことを相談したり、保護者対応の仕方を学んだり、

 

 

必要であれば、専門機関の紹介や家族の方への説明を保育士に代わって担当してくれていました。

 

 

このように大まかな条件や基準は国や自治体で定められているものの、

 

 

実際にはどちらともいえないグレーゾーンにいつつも生活面で個別の配慮が欠かせない子がいる場合は保育園ごとに

 

 

独自の判断や対応をしているところが多いのかなと思います。

 

 

ですのでもし子どものことや加配に関する対応について不安や要望があるようであれば、

 

 

事前に説明会や見学会、担任保育士との個人面談の機会などに相談や確認をしておくと安心できるでしょう。

加配保育士がつくメリット

 

「自分の子どもが障がい児だった」という事実は家族の方にとっては受け入れるまでに時間がかかるかもしれません。

 

 

しかし親がいくら認めたくなくても、「少し成長が遅いだけで、そのうち追いついて他の子と同じようになる!」

 

 

と思っていても、子どもたちはどんどん成長し、できることとできないことの差が開いていってしまいます。

 

 

さらに徐々に同じクラスの友だちや保護者の方も障がいを持つ子の存在に気付き始めた時に、つらい思いをしてしまうのは誰でもないお子さん本人です。

 

 

しかし保護者の方も理解を示し、早急に子どものために、と保育園と連携して対応してもらうことで加配保育士ができることのメリットはとても多いのです。

 

 

ここでは加配保育士がつくメリットを3つ挙げて紹介します。

 

 

手厚い個別対応が可能になる

 

国や保育指針で定められている子どもの人数に対する保育士の配置人数は正直言ってギリギリのラインといっても過言ではありません。

 

 

また乳児クラスは複数担任ですが、幼児クラスに進級していくにつれて担任保育士の数も減ってきますので、そこに加配がされていないと

 

 

担任保育士だけでは障がいのある子のサポートにまで手が回らなくなってしまうリスクがあります。

 

 

そこに加配で1名保育士がつくことでクラス担任も安心してクラス運営に集中できますし、

 

 

障がいを持った子も周りに影響されずに自分のペースで過ごすことができるようになります。

 

 

また加配保育士はヘルプ保育士とは異なりその子専属でついていますので、何かあった時にもすぐにその子だけに対応できるので手厚いフォロー体制が整うといえます。

 

 

子どもとの間に密な信頼関係、愛着関係が築ける

 

加配保育士として特定の子に専属としてついて、日々関わることで、子どもも担当保育士に信頼を寄せるようになります。

 

 

もちろんすぐにというわけではありませんが、毎日悩んで奮闘しながら自分と向き合ってくれているという姿は子どもにも分かります。

 

 

一緒に過ごす中で子どもは加配保育士に対して「この先生はいつも自分が困った時に助けてくれる」「何があっても必ずそばにいてくれる」

 

 

という安心感が生まれ、絶対的な信頼と愛着関係が築かれていきます。

 

 

子どもにとって保育園に心から信頼できる保育士ができることは、情緒の安定や生活スキルの向上にも繋がります。

 

 

自分のペースを大切にしてくれ、いつも温かく見守ってくれる加配保育士の存在は、対象児の保育園生活をより楽しく、充実したものにしてくれるといえます。

 

 

専門知識や経験を元にしたプラスαの支援、援助が見込める

 

加配保育士は発達障がいや心理学の専門家ではありませんが、担当となることである程度そのような知識も頭に入れておく必要があります。

 

 

自主的に発達支援の講習に参加したり、興味のあるテーマの研修に申し込んだり、

 

 

時には専門機関の方々とやりとりをして子どもの今後を真剣に考えていったりする機会も求められてくるものです。

 

 

加配保育士の中には発達支援センターや支援学級に勤務経験があったり、カウンセラーの勉強をしていたりという経歴を持っている方も多くいます。

 

 

そのような障がい児の保育にまつわる専門的な学びや経験をもっている保育士が加配につくことで、

 

 

家族やそのような子どもを担当したことのない保育士にはできないより実践的で効果的な保育や発達支援ができるようになるのです。

 

 

子どもに加配をつけてほしい時はどうすればいいの?

 

保育園において加配をつけるためには前述したように様々な条件や基準を満たす必要があります。

 

 

やみくもに「自分の子を手厚くみてほしいから」という理由では加配はつきません。

 

 

たとえ障がいがあったとして、保護者直々に措置を頼んでも必ずすぐに加配がつくわけではないのが悲しい現実です。

 

 

加配がつくまでには保育園はもちろん役所の認定が下り、さらに職員が配属されるのを待たなければならないので子どものことを思えばもどかしい気持ちもあるでしょう。

 

 

それでもどうしても加配をお願いしたい!という場合には子どものグレーな部分を受け入れ、早めに療育機関を頼ったり、保育園に相談を持ち掛けることをオススメします。

 

 

保育園側も保護者側も子どもの発達や対応に悩んでいること、療育で診断を受けたり、専門家の認定を積極的に受けたりしているという実績は加配措置の判定に優位に働きます。

 

 

保護者の方からしてみれば「自分の子どもに重い軽いを問わず障がいがあることを知られたくない」

 

 

「親としても現実を受け止められない」「加配がついて他の親に変な目で見られるのは嫌」といった様々な思いもあるかもしれませんが、

 

 

なるべく早く、先手を打った対応をすることが子どもが困った状況になった時に加配をいち早くつけてもらえる近道となります。

 

 

「なるべく他のお友だちと同じように過ごしてほしい」という思いもあるでしょうが、それで子どもがどんどん苦しくなっていってしまっては意味がありません。

 

 

親として子どもにできることは何かを考えながら、担任保育士や専門機関と連携して加配をつけてもらえるように役所や自治体に保育園から申請を出すようにしてみてくださいね。

 

 

保育園の加配基準は複雑。加配のメリットをよく理解して子どものために必要か判断して

 

保育園における加配の条件や基準は多様化しており、グレーな子どもの姿や診断のされ方も一人ひとりで全く異なるために加配に関しては

 

 

とても難しくデリケートな問題となっています。

 

 

しかし加配をつけること、申請することは全くもってネガティブなことではないので、

 

 

加配がつくことで子どもにどのようなメリットがあるのかを正しく知り、ありのままの子どもの姿を受け止めて欲しいと思います。

 

 

家族や担任保育士と相談しながら、加配や療育などの知識を深めて子どもにとって一番ベストな選択をしていってあげることが良いといえます。

 

 

決して一人で悩まずに周りを頼って冷静に決めるようにしてみてくださいね。