「慣らし保育なし」の園もある?絶対にするもの?保育士が答えます

「慣らし保育なし」の園もある?絶対にするもの?保育士が答えます

子どもが保育園に入ると、はじめのうちは慣らし保育があります。

 

 

ママにとっては「慣らし保育ってなに?」「通常保育とどう違うの?」というように不安や疑問も多いかと思います。

 

 

そこで今回は保育園の慣らし保育について、慣らし保育なしのところや園によって違う方針などについても紹介していきたいと思います。

 

慣らし保育と通常保育は違うの?

 

 

慣らし保育とはその名の通り、「保育園に慣れるための様子見の段階の短時間保育」です。

 

 

この場合の「慣らし」には「子どもが保育園に慣れる」という意味合いが最も大きいですが、合わせて「保護者もこれから始まる保育園生活に慣れる」

 

 

「保育士も新しく出会う家族に慣れる」という意味ももちろん含まれています。

 

 

はじめはママや子どもはもちろん、保育士側だって手探り状態で子どもや家族と向き合っていきます。

 

 

ママにとっては仕事復帰や保育園スタート、家事と子育てとのバランスなど新年度は環境の変化が多くて大変な時期かと思いますが、

 

 

ぜひこの慣らし保育期間を有意義に使って、心身共に少しでもゆとりをもって新しい環境にみんなで慣れていけたら良いなと思っています。

 

 

保育内容に関しても通常保育とは少し異なり、まずはとにかく子どもが安心して過ごせること、好きなものを見つけて落ち着いて遊べることを

 

 

最優先させてゆったりと過ごしていますので、保育園と聞いて想像するような朝の会や集団での活動などはほとんどないのが特徴といえます。

 

 

親も子も保育士も互いに関係性ができて慣れてきたところで、少しずつ段階を踏んで通常保育へと移行していくようにしていますので、

 

 

保育内容の疑問点や保育園生活に対する不安があれば慣らし保育の時に聞いて解決しておくようにすると良いでしょう。

 

 

慣らし保育は絶対にしなければいけないの?

 

ママの中には「保育園に預け次第すぐに仕事を始めなければいけない」方や「せっかく保育園に入り、契約もしているのだからフルタイムで預かってほしい」

 

 

という方もいるかと思います。

 

 

保育園では原則新入園の0歳児クラスの家庭には時期の長さに関係なく出来る範囲での慣らし保育の協力をお願いしているところがほとんどです。

 

 

また園によっては転園や途中入園などで0歳児以外のクラスに新入園してきた子どもの家庭に対してもはじめの間は慣らし保育をおすすめする場合があるということもあり、

 

 

「入園したら慣らし保育をしなければならない」というイメージが強いかもしれません。

 

 

しかし慣らし保育はどの家庭も必ずしなければならないという決まりは本来は特にないのです。

 

 

もちろん慣らし保育を経て通常保育へと移行していった方が子どもの心身にも負担をかけないで済むので、それを理由としておすすめしている保育園が多くあるのも事実で、

 

 

保護者の方も子どものためを思って協力してくださっている状況があるので、

 

 

「クラスのほとんどの親子が慣らし保育をしている中で自分だけ断りづらい」という現状もあるかもしれません。

 

 

ただ「絶対に慣らし保育をしなければならない」というルールはありませんので、

 

 

仕事の都合や家庭の価値観で慣らし保育に関しての要望があるようであれば一度入園時や入園前の説明会にて

 

 

担任保育士や園長に直接相談してみると良いでしょう。

 

 

保育園の本来の役割は「家庭での保育に欠ける子どもの養育」ですので正当な理由があれば通常保育として最初のうちから子どもを預けることももちろんできます。

 

 

保育園側も家庭や保護者の事情によって柔軟に対応してくれるはずですから、「周りがみんなしているし、保育園側からもオススメされているから慣らし保育をしなければ」と

 

 

思いこまないことが大切です。

慣らし保育なしのところもあるの?

 

保育園の中には園の規模や特性上の理由や、園としての方針から慣らし保育のないところも存在します。

 

 

私の経験から慣らし保育がなしになる例や保育園の特性を3つ紹介します。

 

 

預け先が企業内保育所の場合

 

企業内の保育所は産休、育休を終えてその企業に復帰し働いている社員の方の子どもを預かるため、ママの復帰と同時の入園になります。

 

 

つまり最初からいきなりフルタイムや時短勤務など会社で決められた時間めいっぱいまでの保育となり、慣らし保育期間は存在しません。

 

 

その代わりにママの職場の中に子どもの保育園もあるという比較的距離が近い環境になるので、何かあった時にはすぐに様子を見に行けますし、送り迎えもスムーズなのが利点です。

 

 

家庭や保護者の都合で慣らし保育というシステムを利用しない場合

 

これは保育園には慣らし保育期間やそういったシステムが存在するものの、様々な理由から保護者が「慣らし保育を利用しない」もしくは「利用できない」という選択をした場合です。

 

 

「子どもや先生方には負担をかけるかもしれないけれど、慣らし保育をしない」という選択をする保護者の方の理由として挙げられるのは

 

 

「保育園に預けると同時に仕事にフルタイムで復帰することが決まっている」場合や

 

 

「ママの通院や治療」の場合、そして「家族の介護に時間をあてる必要がある」場合が多いです。

 

 

職場復帰のタイミングに関してはママの出産時期や勤務先の状況によってみなさんバラバラです。

 

 

「4月1日に入園したけれど、仕事が始まるのは4月末から」というママもいれば、「1週間後からフルタイムでの復帰をする予定」というママもいますし、

 

 

「職場の人手不足で保育園に入り次第すぐにフルタイムで戻らなければならない」というママも実際にいました。

 

 

仕事復帰まで時間があり、比較的ゆとりのあるママは慣らし保育を利用してゆっくり保育園生活を始めれば良いと思いますが、

 

 

すぐに職場復帰をするママからしてみれば「早く子どもがフルタイムで保育園で過ごすことに慣れて欲しい」と

 

 

思いから、慣らし保育をせずに長時間預けたいと思うのも当然ですよね。

 

 

このような場合には悠長に慣らし保育をしていられませんので、慣らし保育を無くしてすぐに通常保育での対応となります。

 

 

保育園ごとに慣らし保育の位置づけは違う?

 

ここでは私が過去に勤務した3つの園での慣らし保育の位置づけやねらいについて紹介していきます。

 

 

大規模な認可保育園(横浜)

 

いわゆる100人以上の園児が在籍する大きな園庭付きの2階建ての園舎がある社会福祉法人の大規模園です。

 

 

クラスの定員も比較的多いため、毎年20人前後の0歳児が新入園児として入ってきて慣らし保育が始まります。

 

 

20人も0歳児がいれば、月齢も発達も家庭環境もとにかくバラバラなので慣らし保育中は「1日を通して泣き声が聞こえない時間帯はない」ほど

 

 

バタバタし、全く落ち着かない日々が続きました。

 

 

この園での慣らし保育の位置づけとしては「園のこの雰囲気に慣れてもらうこと」が第一で、

 

 

「自分以外にもたくさんの赤ちゃんがいる比較的騒がしい環境で生活すること」

 

 

子どもが多い分担任保育士の数も多いので「子どもがクラス担任であればどの保育士にも適応できるように慣れていくこと」が主でした。

 

 

人手が足りず、時には園長も0歳児の保育に入るような体制だったこともあり、想像していたような子どもと一対一の慣らし保育というよりは、

 

 

子どもが慣れてくれるまでの時間との戦いのような怒涛の慣らし保育期間だったように思います。

 

 

小規模保育所(東京)

 

ここは全園児の定員が20名の小規模保育所であり、0歳児クラスは2名までしか受け入れていませんでしたので、慣らし保育期間はとてもゆったりしていました。

 

 

担任保育士も基本的には1名で、そこに非常勤やパートの保育士が補助でつく形でしたので、保護者との信頼関係も比較的作りやすく、

 

 

それぞれの家庭とじっくり話す機会も多いのが特徴でした。

 

 

この園での慣らし保育のねらいは、「親子共にゆったりとした雰囲気の中で保育園に慣れ親しんでいく」ということでしたので、

 

 

環境づくりや保護者とのやりとりにはとにかく力を入れている印象です。

 

 

一人ひとりの子どもの顔を見て時間をかけて授乳やオムツ交換をし、たくさん笑いかけて話しかける中で子どもも安定するのが早かったように思いますし、

 

 

少人数の受け入れだったこともあり、保育士側にも余裕ができている部分が丁寧な対応ができている背景であるように感じました。

 

 

企業内保育園(都内の医療施設)

 

ここは普通の保育園とは少し環境が異なり、従業員の子どもと医療機関に来ている患者さんの子どもを必要に応じて保育していました。

 

 

ですので一日の利用人数も違えば、その日にクラスにいる子どもの年齢も預かり時間も毎日違うのが特徴です。

 

 

患者さんなど、「自分が診察や検査の間だけ一時預かりをお願いしたい」という方も多かったので、そういう意味では単発利用の子どもも多く、

 

 

毎日誰かしら新しい子と一緒に過ごすので、日々慣らし保育のような状態でした。

 

 

この園での慣らし保育の位置づけというものは特に定められてはおらず、その日に保育を担当する保育士の考えや方針に一任されていたのが印象的です。

 

 

あくまでも「保護者や家庭の意向に沿った保育、子どもが楽しく過ごせる保育」を方針として掲げていたので、環境の整備や保護者との関係づくりという点よりも、

 

 

「その日に預かっている子どもたちとどう過ごすか」を重要視しているように思います。

 

 

このように私が経験した3つの園だけでもここまで慣らし保育の位置づけや保育方針が異なりますので、

 

 

子どもを保育園に入れる際には慣らし保育の方法や進め方、保育士のタイプなどを

 

 

事前にできるだけ細かく情報収集しておくことが望ましいです。

 

 

慣らし保育はした方が良いけれど強制ではない

 

保育園の慣らし保育は絶対しないといけないということはありません。

 

 

保育園側としても子どもの心身の負担を軽減し、徐々に保育園に馴染んでいってもらえるためにというねらいで入園後の数週間を慣らし保育期間として設定しているだけですので、

 

 

仕事や家庭の事情など正当な理由があれば慣らし保育はなしにすることもできます。

 

 

保育所の規模や預かる家庭の特性によっては慣らし保育という概念を全く持っていない園もありますし、

 

 

そうでなくても事前に相談をすることで慣らし保育の有無は本来は選択することができます。

 

 

不安なようであればママ友に情報を聞いたり、事前に入園説明会や見学のタイミングで質問をしてみてくださいね。