保育園の騒音問題〜実際に起きた2つのケースと園の対応、経験談〜

保育園の騒音問題〜実際に起きた2つのケースと園の対応、経験談〜

近年の待機児童問題の影響もあり、保育園の数は増加傾向にあります。

 

 

しかし保育園を建てるエリアや近隣住民の方の受け止め方によっては保育園での

 

 

騒音問題が大きな課題になっている現状があるということも事実です。

 

 

そこで今回は保育園での騒音問題について、実際に起きた2つのケースや解決策、

 

 

保育園での対応などについて、私が保育士として働く中で経験したエピソードも

 

 

交えながら紹介していきたいと思います。

 

保育園では何が騒音と言われるの?苦情が来るのはどこから?

 

保育園で騒音と言われて苦情が来る音の対象の大半は子どもの声です。

 

 

特に園舎の中ではなく園庭や散歩先の公園などの戸外に出ている時の子どもの声は遮るものがないために

 

 

ダイレクトに聞こえるようで、それを不快に思う方々もいるようです。

 

 

たかが子どもの声で…と思ったり、全く気にならない方の方が多いとはいえ、

 

 

中には元々子どものことが嫌いで泣き声や高い叫び声が癇に障るという方も一定数います。

 

 

確かに保育士として毎日子どもと関わっていても、子どもによって声の高さや大きさは様々であり、

 

 

時には耳がキーンと痛くなるような甲高い声で長時間泣き続けたり、

 

 

友だちとケンカするなかで叫んだりする子もいますので、

 

 

人によってはとても耳障りで気になる騒音になってしまうのだなというのは理解できるところもあります。

 

 

また保育園という特性上、子どもは1人ではなく数十人、あるいは100人近い単位で活動していることがあるので、

 

 

一人ひとりの声は気にならなくてもそれが集団になって聞こえてくるというのでは話が違ってくるという意見もいただいたことがありますので、

 

 

保育園でクラスを運営するためには配慮していかなければいけない点だと保育園側も受け止めています。

 

 

だからといって毎日のように苦情を言われるということはありませんでした。

 

 

子どもがいる生活が当たり前のママ達にとっては「このような苦情は一体どこから来るの?」と気になっている方もいるかと思います。

 

 

このような騒音に関する苦情を保育園に対して言ってくる方のほとんどは近隣住民の方です。

 

 

もちろんそのエリアに住むすべての方は保育園から聞こえてくる声や音を騒音ととらえているわけではないですが、

 

 

近くに保育園があることや保育園から聞こえてくる音のことをあまり詳しく知らずに保育園のそばに引っ越してきた方は

 

 

「こんなはずじゃなかった」「意外とうるさい」というような思いを抱く方もいます。

 

 

そのエリアにずっと住まれている方というよりもそこに引っ越してきて初めて保育園が

 

 

そばにある生活をして不快に感じたという方から苦情を言われがちです。

 

 

また他にも深夜勤務などで不規則な生活をしている方の場合には

 

 

「日中で寝たい時間なのに子どもの声がうるさくて起きてしまう」というような意見をいただくこともありました。

 

 

実際に起きた騒音問題のケース

 

 

ここでは実際に保育園にあった苦情を具体例として2つ挙げて説明します。

 

 

・子どもの泣き声がうるさくてノイローゼになりそう

 

これは保育園の向いにあるアパートの住民からの苦情です。

 

 

背景としては元々何もなかった保育園の前の敷地に新築の単身者用のアパートとが完成し、

 

 

そこに引っ越してきた住民が保育園がこんなに近くてうるさいなんて聞いていなかったという理由で

 

 

「うるさいのでなんとかしてほしい」というような内容の苦情を申し立ててきました。

 

 

しかし同じアパートの他の住民からの苦情はなく、

 

 

毎回同じ方からの苦情のみだったので自治体に調査、対応をしてもらうことで沈静化しました。

 

 

自治体が間に入った時点から保育園に対しての苦情の電話は無くなり、

 

 

そのあともそこに住んでいるのか嫌になって引っ越したのかは定かではありません。

 

 

・運動会の練習がうるさくて窓を閉めていても家の音がなにも聞こえない

 

これは保育園あるあるなのですが、運動会前はそれぞれのクラスが体操や演目の練習を始めるために

 

 

大音量スピーカーやマイクを使用して園庭やグラウンドでダンスをしていることが多いです。

 

 

保育園としても練習が始まる時期に合わせて近隣の住居に向けてはお知らせを書いた手紙をポスティングしたり、

 

 

挨拶に伺ったりもしているのですが、運動会の練習ということで

 

 

どうしても子どもも大人も熱が入ってしまい、自然と声が大きくなったりしてしまうことがあります。

 

 

しかし近隣にお住まいの方が窓を閉めても生活音が聞こえないほどの音量で練習を

 

 

進めてしまうことは確かに騒音と言われても仕方がないですし、相手方の生活に支障が出て

 

 

迷惑をかけてしまっているため、園長が自治体の方と一緒にその住居の方のところまで直々に

 

 

挨拶とお詫びに伺って状況を説明して今後は気を付ける旨を丁寧に伝えていました。

 

 

その後も担任保育士と話し合い、音量のボリュームの基準と練習を実施する時間帯を

 

 

細かく決めて守るようにしたことで同じ苦情はなくなりました。

 

 

この2点の他にも特例にはなるのですが、10年近く保育園で働いて1度だけ保育園宛てに

 

 

「毎日子どもがうるさい、これ以上うるさくするようなら刃物を振り回す」というような電話が入り、

 

 

危険を感じた保育園が自治体に連絡、すぐに保育園周辺や近隣の公園を警察の方が巡回するような展開になったこともあります。

 

 

結局被害はなく、誰がそんな電話をしてきたかも分からないのですが、

 

 

子どもの声や保育園での音をここまでに耳障りと思う方もいるから気を付けなければならないと

 

 

保育士自身もより一層気を引き締めた事例もありました。

騒音問題を無くすための保育園での対応について

 

ここでは騒音問題を無くすために保育園としてやっている工夫や対応について3つ挙げて説明します。

 

 

・保育園を作る際には建物の構造や設計にこだわる

 

これは保育園開園前の建築段階でやっておくべきことなのですが、

 

 

壁の厚みや防音構造などをしっかりと入れた園舎にすること、そして新たに園舎を作り上げる場合には

 

 

建設予定となる場所のあまりに近いところに住宅がないかどうかや、

 

 

そこに住んでいる人の層などをしっかりと把握しておくことがまず重要です。

 

 

ファミリー層が多く住んでいる住宅街の中であれば子どもの声もさほど

 

 

気にされない上に保育園という存在自体が重宝されるので良いですが、逆に単身者が多く住んでいたり、

 

 

閑静な住宅街の中にいきなり保育園を作ってしまうとそれだけで懸念材料にされて苦情の原因になることもあります。

 

 

また保育園が開園してからも防音マットを敷いたり、

 

 

必要であれば改築をしたりして保育園では常に騒音防止に向けての取り組みを欠かしません。

 

 

・大きな音を出したり子どもを外に連れていったりする時間帯を決める

 

保育園だからという理由でいつ何時も常に大音量で曲を流したり、

 

 

子どもたちを外で思いっきり遊ばせたりして良いということではないと保育士としても思います。

 

 

私が勤務していた園では外で遊ぶ時間は午前中の10時から11時までと夕方の16時まで

 

 

というように時間を決めてそれを近隣の方にも分かるように掲示板に張り出したり、

 

 

問い合わせがあれば別個に伝えるようにして理解を得るようにしていました。

 

 

それ以外の時間は部屋で遊べるように保育内容を工夫して、

 

 

大きな音が出ることが予想される場合には窓を閉めて実施するというように臨機応変に対応していました。

 

 

・早朝と夕方以降の遅い時間は大きな音や声に特に注意する

 

保育園は早いところで朝7時から遅いと20時半くらいまで子どもを預かっています。

 

 

日中は近隣に住んでいる方も仕事などで家を空けていたり、

 

 

同じように外で活動していたりするので多少の音や声は気になりませんが、

 

 

早朝や暗くなってから夜になるまでの時間帯は在宅している方も多く、周辺も静かであることが

 

 

多いために日中と同じレベルの物音や声でも大きく聞こえて生活の妨げになってしまうこともあります。

 

 

ですので私が勤務していた保育園では朝と夜の時間は外遊びはせずに、

 

 

室内で遊ぶ場合には窓を閉めた状態でピアノなどの楽器演奏は控えるようにしていました。

 

 

特に夜の時間は子どもたちも少なくなり、日中の疲れもあるので絵本を見るなどしてゆっくり過ごせるように工夫していました。

 

 

苦情が出た時の各所への保育園の対応について

 

ここでは残念ながら保育園宛てに苦情が出てしまった時の苦情の主や関係各所への対応について3つ挙げて説明します。

 

 

・真摯に謝る

 

どんな相手に対しても、まずは保育園から不快な思いをさせてしまったことに関してはまず謝罪をします。

 

 

大抵は保育園か自治体宛てに電話が来るだけで対面するということはあまり無いのですが、

 

 

必要であれば自宅まで謝罪と状況説明をしに伺うようにしています。

 

 

・状況確認をする

 

まずは苦情が入ってしまったことを真摯に受け止めて、苦情が入った時の状況やクラスの活動などの状況を確認します。

 

 

本当に騒音になるほどの大きな声や音が出ていたのか、

 

 

それとも相手側にも要因があるのかというところを精査してこれからの対応について考えます。

 

 

・必要であれば自治体や役所にも入ってもらい改善する

 

色々な場所から同じ内容の苦情が来る場合や、特定の人から苦情の電話が毎日のように

 

 

来る場合など別途適正な対応が必要な場合には保育園だけで判断をせずに

 

 

自治体や役所、必要であれば警察にも連絡をして連携を取りながら苦情解決に取り組みます。

 

 

自治体などの調査の結果、園舎の壁が薄かったり、老朽化していることが原因での

 

 

騒音の場合には補助金が出て改築工事になることも実際にあります。

 

 

人によって受け止め方も様々なので最大限の配慮が大切

 

保育園は増加傾向にはありますが、騒音などの懸念から建築を反対されているようなエリアもあるのが事実です。

 

 

保育園はその地域に馴染み、上手く共存していきたいのが本音ので近隣住民の方々から理解をしてもらい、

 

 

騒音トラブルなども起きないように最大限の配慮をしています。

 

 

もし騒音問題が発生してしまった場合にもきちんと対応できるように関係各所と連携して体制を整えていますので、

 

 

もし気になることや騒音では?と思うようなことがあれば

 

 

保育園や自治体の窓口に電話で感情的にならず冷静に申し立てるようにしてみてくださいね。