初のお泊り保育で心配。保育士が語る当日の内容や子供の様子について
子どもが保育園に通っていると、いずれは参加することになる子どもだけの大きな行事がお泊まり保育です。
いくら保育園で保育士や友達がいるとはいえ、ママにとっては「いつも夜は家にいるのに親と離れてお泊まりなんてちょっと心配…」
「寂しくて泣いたり、眠れなかったりしないか不安」というような思いがあって当然だと思います。
そこで今回はその不安を少しでも軽くできるように、保育園でのお泊まり保育の内容や実際の様子などを私が保育士として勤務していた経験も交えながら紹介していきたいと思います。
お泊まり保育っていつあるの?
お泊まり保育は基本的に年長児クラスの卒園に向けた思い出と経験づくりも兼ねたスケールの大きい行事です。
お泊まり保育の開催時期ですが、子どもの結束力や生活リズムが整ってきているタイミングを見計らって実施する保育園が多く、
気候的にも良い時期となる夏の終わり〜秋ごろに年間行事として組み込まれることが私の経験上多かったです。
保育園によっては運動会もあるために子供の体力や疲労を考慮して少し日にちを空けて設定するところもありますし、
「運動会を経てクラスの力が強まっているからこそ」と同じ月の中で実施するところもあり、
方針やその年度のクラス担任の価値観や子どもの様子によって日程は前後します。
日程に関しては基本的には金曜日の夜に保育園にお泊まりして、土曜日の午前中に保護者の方のお迎えという形をとっていて、
慣れない環境で一晩頑張った子どもたちが家庭でゆっくり過ごせるように配慮しています。
お泊まり保育のお知らせは年度初めの4月にひとまず年間行事予定として出され、開催一ヵ月前くらいから詳細や出欠確認の掲示が年長クラスに向けて出されます。
子供の生活リズムや家庭での睡眠のとり方など、不安なことがあれば事前に担任保育士に相談しておくと不安なく参加できて良いでしょう。
また卒園前の大きなクラス行事ということもあり、大抵はほとんどのクラスの子たちがお泊まり保育に参加しますが、私が勤務していた保育園では強制ではありませんでした。
家庭の事情やお子さんの体調など、直前で状況が変わることもあり得ますので無理なく楽しく参加できるように家庭でも予定を調整してもらえればと思います。
お泊まり保育の流れと内容って?
ここでは私の経験を元にお泊まり保育の流れと内容について時系列で説明していきます。
・通常保育が終わっても降園せずに夕方以降も園で遊ぶ
お泊まり保育とはいえ保護者の方は仕事がありますので、通常通り午前中から登園していつも通りの1日を過ごします。
家庭によっては一度夕方の早めの時間にお迎えに来て、荷物や身支度を整えてからお泊まり保育開始の時間に再度登園する子もいました。
保育園によっては一時帰宅を認めていないところもあるかと思いますのでこの点に関しては確認した方が良いでしょう。
外が暗くなり、夜が近づいてきても家に帰らずに友だちと保育園で遊ぶという非日常な感覚を楽しんでいる姿が印象的でした。
開会の集まり
担任保育士をはじめとして、お泊まり保育を盛り上げるために参加している他のクラスの保育士もみんながホールに集まってお泊まり保育のスタートを子供たちにお知らせします。
保育士が考案したじゃんけんやエプロンシアターといったミニゲームがあったり、
年長クラスの園児たちが作成した縁日やお店屋さんごっこに保育士がお客さん役として遊びに行ったりして和やかで楽しい雰囲気で進めていきます。
夜ご飯をみんなで食べる
日中の活動の時に包丁とまな板を使って子どもたちが切った野菜を使用して栄養士さんがカレーライスを作ってふるまってくれます。
保育園によっては外でキャンプのような雰囲気で食べたり、ごはんも飯ごうを使用して子供たちが炊いたりするところもあります。
お友だちと保育士と一緒に広いスペースで夕食をとり、随所から笑い声や楽しそうな話声が聞こえてきます。
夜のお散歩
このイベントが私が勤めていた保育園ではお泊まり保育の醍醐味といいますか、子供たちにとっても大人たちにとってもメインイベントでした。
保育園の真裏に日中もよく遊びに行っている大きな児童公園があるために実現した企画で、
もちろん事前に近隣住民の方には書面でお知らせをしておき、ルートの下見や大人の人員配置も徹底しての実施でしたが、これが大好評でした。
子供たちは腕にお守りとして光るリングを着用し、担任保育士と「友だちと手を離さない」「ひとりでどこかへ行かない」といった夜の散歩の約束をして出発します。
日中は毎日のように行っているお馴染みの公園でも、昼と夜では全く雰囲気が違います。
普段から夜遅い時間は外出する機会がほとんどない子供たちは怖がりながらも身に付けた光るお守りと一緒にいる友だちのパワーで勇敢に歩くことができていました。
道中では引率しないで保育園で子供たちを見送った保育士たちがこっそり公園に先回りをしてわざと木を揺らして驚かせたり、
懐中電灯で道を照らしたりして子供の反応を楽しんでいました。
入浴
私の勤務先には子ども用の四角プールがあったので、そこにお湯を張って子供たちがシャワーで身体を洗ってから入浴をしていました。
保育園によってはシャワーのみだったり、沐浴室で身体を洗ったり、宿泊施設の浴場を時間で借りたりと入浴方法は多様です。
「大きなお風呂にお友だちと一緒に入れる!」と子どもたちは大喜びでした。
就寝
丸一日保育園でたくさん遊んだ子どもたちはいつも使っているお昼寝用の布団で就寝します。
疲れもあるのかそこまで寝ぐずる子などはいませんが、それでも夜は寂しくなったり、
ママやパパを思い出して泣いてしまったりする子もいますので、保育士が個々について対応し、安心できるように配慮します。
翌朝起床したら、私服に着替えて朝7時〜8時の間に保護者の方のお迎えが来て、お泊まり保育は終了します。
お泊まり保育の準備物について
お泊まり保育の際に子どもに何を持たせれば良いのかというのは経験がないとよく分かりませんよね。
基本的には保護者向けにお泊まり保育のしおりのようなものが事前に配られると思うので、それに沿って用意をしていただければ問題はないです。
ここではどこの保育園でも比較的共通して用意が必要となるものについて紹介していきます。
パジャマ
お昼寝ではなく、夜間就寝となるために寝心地のよい普段使いしているパジャマは必要不可欠です。
お子さんの気分が上がるお気に入りのパジャマを用意してあげることをオススメします。
着替え
普段着の着替えは保育園にもストックはありますが、あくまで汚れてしまった時用のものなので翌朝に着て帰る衣類は別で準備してもらうようにお願いしています。
また普段着以外にもお泊まり保育には入浴がありますので、下着や肌着の着替えも忘れずにお願いします。
タオル
お風呂から上がった時に身体や頭を拭くためのバスタオルのことを指します。
新品だと吸水が悪いこともあるので、普段使用しているもので構いません。
歯ブラシ
保育園で歯磨きを取り入れているところであれば、保育園に各自の歯ブラシとコップがあるので準備は不要かと思います。
しかし普段歯磨き習慣を取り入れていない園の場合には夕食後の歯磨きのために子ども用の歯磨きセットの用意が必要になることもあります。
子供が寝るときなどに安心できるグッズ
これは絶対必要というわけではありませんが、子供の寝付きや不安な様子などに合わせて保育士とママとで相談して持ち込みをどうするかを決めることが多いです。
大抵は「これを持っていると安心して眠っている」といえるアイテムで、特定のブランケットやタオル、小さめのぬいぐるみが多いです。
他の子が興味を持ってしまったり、羨ましがってしまうといざこざの元にもなるので、ゲームやおもちゃなどは持ち込みは禁じていますが、
先に述べたようなものであれば布団に入った時にスッと子供に渡すことができるので場合に応じて持ち込みを許可するようにしていました。
実際の子供の様子ってどうなの?
お泊まり保育はとても楽しいイベントですが、家庭と離れてお泊まりする子どものことが親としてはどうしても心配ですよね。
「今頃何をしているのかな」「泣いていないかな」「先生やお友だちに迷惑をかけていないかな」と夜も常に頭のどこかで考えてしまうのも当然です。
保育園での実際の子供の様子ですが、全体的には「不安や寂しさももちろんあるけれど、それに勝る大きな楽しさと満足感がある」というような印象です。
もちろん保育士も子供たちの様子や変化には細心の注意を払い、個別に対応できるように体制を整えています。
お泊まり保育当日は朝から「今日は保育園で夜ごはん食べるんだよね?」「明日の朝まで保育園にいるんでしょ?」と期待に胸を膨らませて登園してくる子供たちがほとんどで、
その日は日中もずっと友達や保育士と「夜ごはんは何かな?」「私のパジャマ、〇〇(好きなキャラクターや色)なの!」
とお泊まり保育の話題で盛り上がっているので安心していただいて大丈夫です。
しかし日中は元気いっぱいでも夜になると不安や怖さがどうしても強くなってきてしまい、
不安な気持ちや家族を恋しがる気持ちが強く出て泣いてしまう子や元気がなくなってくる子ももちろんいます。
夜間も寝付けなかったり、トイレに行くのが怖かったりなどその反応は様々ですが、その都度保育士が抱っこをして話を聞いたり、添い寝をしたりして個別に対応しています。
周りにはそんな友達を心配し、励ましてくれる頼れるクラスメイトもいるので、
不安な様子が尾を引いて翌朝まで続くというような子は私はあまり見たことがないので、
子供なりに気持ちを切り替えて頑張っているのだと思います。
翌朝に家族がお迎えに来た時には昨日よりも少したくましくなった子供たちの姿があります。
お迎えに来たママやパパに「昨日ひとりで眠れたんだよ!」「夜のお散歩、怖くなかったよ!」と
嬉しそうに報告する子供たちを保護者の方も笑顔で受け入れ、1日ぶりの再会を喜んでいる様子がとても温かくて毎年印象に残ります。
ですのでそこまで過度に心配せず、当日は保護者の方も安心して保育園にお子さんを送り出してほしいと思います。
どうしても不安なことがある場合には事前に担任保育士や園長に相談し、対応を決めておくことをおすすめします。
お泊まり保育は年長クラスの特別な行事!
お泊まり保育は年長クラスの子供たちにとっては大きくなっても友達や先生と過ごした大切な思い出になること間違いなしの行事です。
毎日通っている保育園でお泊まりをすることは楽しくもある反面、慣れないことでもあるので子供たちは帰宅するとリラックスして疲れた様子を見せるかもしれません。
しかし子どもはその経験の中で確実に成長していますし、小学校に行くために必要なスキルも磨かれます。
親としては心配な部分もあるかと思いますが、保育園側もどんな状況にも対応できるように体制を万全にしていますのでぜひ安心して預けてくださいね。
そして翌朝一回り大きくなったお子さんを見て、たくさん抱きしめて褒めてあげてくださいね。