保育園、入園前に卒乳は必要?アドバイス

保育園、入園前に卒乳は必要?卒乳の時期の目安や保育士のアドバイス

小さな子どもを保育園に入れるとなると、母親はずっと子どものそばにはいられなくなります。

 

 

つまり母乳もあげることができなくなってきますし、お子さんは保育園で順応するために少しずつ母親がいない環境の中で成長していかなければなりません。

 

 

自分の子どもが「おっぱいがないとぐずってしまう」「完全母乳で育てていたので粉ミルクや離乳食への移行がしづらい」といった状態で不安という方もいるはずです。

 

 

そこで今回は実際にいくつかの保育園で乳児担任をしていた経験談も交えながら、卒乳の必要性や時期について紹介していきたいと思います。

 

卒乳ってどういうこと?

 

卒乳とはその字の通り、お子さんがおっぱいを飲むことから卒業することを指しますが、これはあくまでも大人の意思や都合で強制的におっぱいを中止するものではなく、

 

 

子どもが自然とおっぱいを求めなくなることを意味します。

 

 

しかし中には卒乳の意味を間違えて認識してしまい、子どもがまだミルクを欲しているのに

 

 

「育児書にそろそろ止める時期と書いてあるから」「周りのママたちはもう卒乳しているから」というような大人本位の理由で急に卒乳を進めていってしまう方もいます。

 

 

そのような理由で突然おっぱいを止めてしまうと、子どもも混乱してしまう上に心身ともに満たされない状態になってしまいますので注意が必要です。

 

 

なぜなら子どもにとっておっぱいを飲むという行為はただ空腹を満たすためのものではなく、母親とのスキンシップから安心感を得たり、

 

 

心から甘えて愛情を確認したりするための行為でもあるからです。実際に私が担任していたクラスでは保育園に入って家族と離れることで不安定になってしまい、

 

 

卒乳するのに3歳までかかった女の子もいます。

 

 

このように乳児期の子どもの成長や環境の変化に順応する力は同じ月齢の子でも特に個人差が大きいところなので、卒乳が早い子もいればそうでない子もいるのが当然です。

 

 

あくまでも卒乳は子どもの意思と成長で自然と進むものということを理解して、自分の子どもの姿や様子に合わせて目標を立てて進めていくことが望ましいです。

 

 

卒乳の時期のめやすやタイミングについて

 

最近ではあまりうるさく卒乳と言われるようなこともなくなり、1歳を過ぎてもおっぱいをやめる必要性はないとされていることから

 

 

子どもの「おっぱいを飲みたい、吸いたい」という欲求が自然と無くなっていく時期に合わせれば良いという風潮になってきているのも事実です。

 

 

しかし母親からしてみれば「仕事復帰をするタイミングでなんとか卒乳してほしい」「歯が生えてきているから授乳が痛くて辛い」

 

 

という切実な理由からそんなにゆとりを持って卒乳を待てないときもありますよね。

 

 

卒乳を考える時期のめやすの1つとされているのは、お子さんが1歳になるタイミングです。このタイミングが卒乳の時期とされる理由は2つあげられます。

 

 

離乳食を始めるから

 

1歳前後で赤ちゃんには歯が生え始め、離乳食を始めることでミルク以外のものから栄養を摂取するようになります。

 

 

まず大前提として、お腹が空いていればおっぱいを欲しがるのは当然で卒乳出来ません。

 

 

ですが離乳食をはじめとする固形物のおいしさに気付き味覚が馴染んでくること、

 

 

麦茶や牛乳など他の飲料で水分補給ができるようになることでミルクがなくても満腹となり、安心感を得られるようになってきます。

 

 

身体機能が発達するから

 

1歳前後の月齢であればハイハイや歩行も活発にするようになり、日中に起きて遊ぶ時間も長くなります。

 

 

そのため身体も自然とエネルギーを消費するようになるので疲れて眠くなります。

 

 

今まではおっぱいを飲みながら抱っこで眠っていた子どもも、おっぱいなしでも眠りにつきやすくなってきます。

 

 

以上の理由から1歳前後が卒乳の時期の大まかなめやすとしてあげられますので、ママ目線で「日々の生活の中で食事や睡眠などの子どもの生活リズムが安定してきたな」

 

 

「離乳食もしっかり食べておっぱいを求める回数が減ったな」と感じるようになったタイミングこそ、その子の卒乳の第一歩ととらえてみて良いでしょう。

 

保育園に入れるなら卒乳は必要?

 

保育園によっては入園前に「卒乳はできていますか?」と確認するところも多く、卒乳出来ていないとなんだか申し訳ない気持ちになってしまいがちですが、

 

 

保育園側も子どもの発達や家での生活リズムを把握するために聞いていることですので、そこで不安に思う必要はないので安心してください。

 

 

子どもを保育園の何歳児のクラスに入れるかにもよりますが、基本的に0歳児クラスではミルクは不可欠ですので卒乳の必要はなく、

 

 

必要な時期になったら担任保育士と相談して進めていくような形、1歳児クラスでは子ども一人ひとりの発達に合った対応を心掛けていますので卒乳していない子がいたとしても、

 

 

食事の量を調整して必要であれば粉ミルクでフォローするなどという配慮しながらも進級に向けて徐々に卒乳を促すように努めています。

 

 

このように個々に対応はするものの、さすがに1歳後半になって卒乳ができていないと集団生活や給食の食べ進み、子どもの健康状態にも影響を及ぼしますので、

 

 

家庭でも遅くても2歳になるまでに卒乳をしてくれるのが理想ではあります。

 

 

しかし子どもによっては保育園ではミルクもあまり飲まず給食を良く食べ、ぐずることもなく過ごしていても、家庭ではママに甘えておっぱいを求めたり、

 

 

おっぱいを拒否するとぐずったり怒ったりするというような姿を見せることも十分にあります。

 

 

これは子どもなりに保育園という外の世界でたくさん我慢して頑張って過ごしている反動が家庭で表れている証拠ですので、その気持ちはしっかりと汲み取ってあげて欲しいものです。

 

 

大人も日によって体調や気分の上がり下がりはあるように子どもも子どもなりに「今日はごはんをたくさん食べたい日」もあれば

 

 

「今日は甘えたい日」「今日はミルクを飲みたい日」という気分のムラもあるのです。

 

 

そのような子どもの姿や思いに対してしっかりと向き合って受け止めてあげ、卒乳に向けてミルクを止めていたとしても時と場合によっては「それじゃあ今日は特別だよ」

 

 

「もうママのおっぱいはお休みしているから、静かに見るだけね」というように分かりやすい言い回しで子どもに伝えながら臨機応変に対応してみてください。

 

 

卒乳は保育園に入れるにあたっては悩ましい問題です。

 

 

保育士としては入園前に卒乳ができていればそれはそれで家庭でしっかりと進めてくれていて有難いと感じてしまうのも事実ですが、

 

 

現状としては卒乳できていないまま入園してくるお子さんがほとんどです。

 

 

ママも卒乳について色々と悩んでいる方が多いので、そこは入園してからもサポートしていきたいと担任保育士としては思いますし、

 

 

家庭と保育園とで進め方や子どもの姿が違うこともあるので常に相談しながら子どものことを最優先に考えて卒乳を進めていくような体制をあらかじめ考えています。

 

 

ですので保育園に入れるからといって家庭で急ピッチで卒乳を進めて、無理にミルクから離れる生活をお子さんと送る必要はありません。

 

 

保育園に入れるにあたって卒乳は必須ではなく、「この1年で卒乳できるようにしていきたいな」くらいの目標に過ぎませんので、焦らなくても大丈夫です。

 

 

卒乳をスムーズに進めるためにできること

 

卒乳を考えているけれど、なかなか子どもがおっぱいから離れられずどうすれば良いのか分からないと悩むこともあるでしょう。

 

 

前述したように子どもは食べることや遊ぶことが楽しくなり、そこに興味とスタミナを使うようになれば自然とミルクのことを思い出す機会が減ってきます。

 

 

卒乳をスムーズに進めるためにはまずミルクやおっぱいを子どもの視界に入れずに過ごすことをオススメします。

 

 

今まで飲んでいた哺乳瓶が見えたり、おっぱいが飲める状況だと認識してしまうと子どもの中でも一気に授乳スイッチが入ってしまいますが、

 

 

逆に見えなければ思い出さないので本当に必要な時以外は哺乳瓶やミルクなどは目に入らないところにしまっておく方法は意外と効果があります。

 

 

また離乳食の味付けや調理法を工夫して子どもの発達や好みにあった食事を日々一緒に食べることで子どもの食に対するモチベーションをあげてあげることも大切です。

 

 

「ママと一緒に食べるとおいしい」「自分でもぐもぐして食べるとママが喜んでくれる」という気持ちが子どもの中に芽生えれば、食べることが楽しくなりますし、

 

 

食材には色々な味や食感があることを知ることでミルクよりも食事のおいしさが勝つようになってきます。

 

 

そのためにも「おいしいね」「これはニンジンだよ」と丁寧に声をかけたり、口の動かし方を大人も真似して見せたりして楽しく食事ができる環境を整えることが望ましいです。

 

 

さらに子どもによっては入眠時におっぱいを求める場合もあります。

 

 

この場合は空腹ではなく不安からくるものなので、ママが添い寝でとんとんしてあげるとか、

 

 

例えばぬいぐるみやタオルケットといったその子にとっておっぱいに代わる安心できるものの存在を提供することで解決し、卒乳へまた一歩進めることになります。

 

 

卒乳をスムーズに進めるために最も重要なことは、強制しないということです。

 

 

生まれてから今まではおっぱいとママが全てだった子どもの食事や睡眠、そして遊びや周囲との関わりが日に日に充実してくることで、

 

 

子どものミルクに対する価値観にも自然と変化がでてくるのです。

 

 

時には大人の援助や誘導も挟みつつ、子どもの方から自立する日を長い目で見守ることこそ、卒乳を成功させるカギとなります。

 

 

保育園のためだけの急な卒乳はNG。親子のペースで無理なく進めて

 

卒乳はママと子との間でじっくり進めていくデリケートなものです。

 

 

元々授乳は母子をつなぐ大切なコミュニケーションの一つでもあるため、保育園の入園に合わせるように子どもの欲求を無視して急に卒乳に向けて進めていくことは良くありません。

 

 

子どもの発達にも個人差があるため、保育園で同じ月齢の子たちが既に卒乳しているのを見てしまうと焦りや不安もあるかもしれませんが、

 

 

そこは自分の子どものペースを最優先に考えて、無理なく進めていくことが何よりも大切です。

 

 

子どもがストレスなく卒乳していけるように、家庭でもできることは工夫し、壁にぶつかったら保育士に相談するなどして温かく見守りながら進めていってくださいね。