保育園でよくあるトラブルは?先生、保護者、子供別の実例や経験談
子供が保育園に通い始めると、親子共に様々な新しい人との出会いやかかわりが生じます。
保育園は生活の場でもあるので大人も子供も関係なく「ひとりの人」として対等にかかわる機会も多いといえます。
中には相性が悪かったり、価値観や性格が異なる人と出会ったりすることもあり、些細な行き違いや思い込みからトラブルに発展してしまうこともあるのが現状です。
そこで今回は私の保育士としての経験から、保育園でのよくあるトラブルを先生、保護者、子供といったコミュニティごとに分けて紹介し、対処法も挙げていきたいと思います。
保育園でのトラブルってなぜ起こるの?
保育園でのトラブルに関しては保育士としては出来ることなら何も起きてほしくないし、毎日平穏に過ごしたいというのが本音です。
しかし一度起きてしまったトラブルは避けられません。どうしてトラブルが起きてしまうのか、主な理由としては以下の3点があげられます。
些細な意見の食い違いや思いの行き違いの積み重ね
保護者の希望するような保育をしてもらえなかったり、悩みや不安を訴えた場合に適切な対応をしてもらえなかったと感じたりする出来事が続くといずれ不信感へと変わります。
保育士からの話の伝え方や保護者の方の話を聞く姿勢などは、一言でも言葉のチョイスを間違えてしまったり言葉足らずだったりしてしまうと
捉え方に違いが生まれて思いが正しく伝わりません。結果としてすれ違いからトラブルにつながりやすくなります。
価値観や性格の違い
同じクラスに在籍する子どもの保護者といっても、年齢や経歴、家庭環境や子育ての価値観などは多様です。
連絡がマメな人もいればそうでない人もいますし、行事などを仕切るのが得意な人もいればそうでない人もいます。
このような個人間の思いやノリに大きな差があると、人によってはそれを「溝ができた」「自分のやり方を拒まれた」感じ取る方もいるので、いざこざが生じやすくなります。
子ども同士のまだ言葉では解決できない不満や怒り
子ども同士のケンカはひどくならない限り、保育園では「一つの経験」であり「ケンカも相手とのコミュニケーションの一環」という考えからあまり極度に介入したり、
ケンカになる前に制止したりするようなことは控えています。
そうはいっても子ども同士なので、言葉で伝えるだけでは解決せず急に手が出たり相手を突き飛ばしたりしてトラブルになり、時にはケガにつながってしまうこともあります。
先生と保護者とのよくあるトラブル例と対処法
実際に私が勤務していた保育園であった事例を2つ対処法と共に紹介していきます。
「ケガや病気をしてしまった子への対応や納得のいく答えが返ってこなかった」
子どもの急病やケガの連絡が仕事中に入ると、親御さんとしては子どもの様子をお迎え時に確認するまではかなり不安ですよね。
しかしその保育士はその気持ちを汲むことなく、早口な上にケガに至った経緯などの説明が不明瞭でろくに説明もせずに
「早くお迎えに来てほしい」という要望だけまくし立てるように伝えてしまったようでした。
また謝罪すべきところできちんと謝罪の言葉を述べられなかったり、保護者の質問にすぐ答えられなかったりすることも不安を煽る要因となったようで、
いざ保育園に迎えに来た時に、事務所にいる園長や主任保育士などにその思いや意見を訴えて帰られた保護者の方がいました。
このような場合の対処法としては不安や不満を一人で抱え込んだり、保育園に意見を言うことを躊躇したりせずに嫌だと思ったことや気になることは
園長もしくは主任保育士など話しやすい相手に何でも相談してもらうに限ります。
保育園としては大切な子どもを預かっている立場ですし、可能であれば保護者の方と常に連携して保育を進めていきたいという思いもあるので
ここで信頼関係が崩れてしまうことは望んでいませんので、些細なことでも気がかりなことがあれば何でも意見として言ってもらえると有難いです。
「〇〇先生には安心して預けられない」
保育士側は「今は子どもの様子を見守るべきと判断し、介入せずに少し距離を置いて展開を見ていた」という価値観があったのですが、
保護者側としては「〇〇先生は子どものことを放ったらかしてただ見ているだけもっと子どもと関わってほしい」
「ケンカや危険行為など子どもに何かあったときにちゃんと対応してくれるのか不安」「担任を変えてほしい」というような意見が複数の家庭から出てしまいました。
確かに元々控えめで大人しい性格の保育士だったので、日々の保護者とのコミュニケーションも
淡々と済ませることが多く元々の関係もあまりうまく築けていなかったことが今回のトラブルに発展してしまったようです。この手のトラブルは保育園で多いのが現状です。
対処法としては保育士と保護者がもつ子育て観に違いがあることをまずは頭に入れ、自分の思いや願いと異なるからといってはじめから批判し、
排除しようとするのではなくお互いに理解を深めようと心がけることです。
もちろん大前提として保育士が率先して思いや意図などは保護者に共有すべきなのですが、それでもどうしても理解できない行動や
子どもへの対応が見受けられた場合には、直接その保育士本人に質問してもらって構いません。
保育士も言われるまで気づかずにクセや習慣で動いていることもありますので、疑問点などを改めて指摘してもらったり質問してもらったりすると、保育を振り返るきっかけにもなります。
それでも改善しない場合には主任保育士や園長に相談してみることが望ましいです。
保護者同士のよくあるトラブル例と対処法
保護者同士のよくあるトラブル例は圧倒的に「ママ友同士のグループ内における人間関係」が多いように見受けられます。
普段は送り迎えの時間が違うとほとんど顔を合わせることのないママ同士もいる中で、仲良しグループを作って頻繁に集まっているママ同士も存在します。
そのようなコミュニティの中では「メールグループの返事がいつもない」「話のノリが合わない」というような理由で揉めてしまい、露骨に避けられたり
軽い気持ちや冗談で発言したことに尾ひれがついて悪口のように本人の意図しない形で広められてしまったりして困っているというような報告も受けたことがあります。
また子ども同士がケンカや揉め事を起こした時も被害者側の子どもの保護者がケンカを吹っ掛けた側の保護者に詰め寄り「きちんと教育してください」と
怒りをぶつけるようなこともあり、これが原因でぎくしゃくしてしまい顔を合わせても気まずい状態が続いていて保育園に行くのがストレスであるという悩み相談もありました。
このようなトラブルに遭遇してしまった時の対処法としては、「まず基本的に家庭を優先してママ友づきあいはほどほどにするスタンスでいる」
「相性や価値観も人それぞれということを理解する」「本当に長く付き合えそうなママとだけ深いお付き合いをして派閥にはむやみに入らない」ことがポイントです。
それでも万が一保護者同士のトラブルに巻き込まれてしまった場合にはとにかく必要なことだけ対応するようにして変に深入りしたり信憑性のない話に同調したりしないことが大切です。
「向こうがそういう態度ならこちらも」とケンカ腰になるのが一番良くありませんので、とにかく冷静に対応してみてくださいね。
子供同士のよくあるトラブル例と対処法
子ども同士のトラブルは小さなものであれば毎日のように発生します。トラブルの大きさごとに実際にあった事例を3つ対処法と共に紹介していきます。
おもちゃや場所の取り合い
主に乳児に多いトラブルで、始めは「いやだ」「〇〇(名前)が使ってたの!」と気持ちを主張するものの取り合いが終わらない場合に発生します。
相手を掴んで引っ張ったり、叩いたり、時には噛みついたりする姿が主にあげられ、基本的には保育士が途中で仲介に入りますが急に手が出て保育士が防ぎきれないと
相手の子どもにひっかき傷やつねった痕が残ってしまうことが頻繁にありました。
どんなに小さな傷でも保護者の方には必ず謝罪と共に経緯の説明やケガの処置について丁寧に説明するようにしていますが、
もし降園後に子どもの身体に覚えのない傷や赤み、あざなどが見受けられた場合には電話もしくは翌日の登園時にすぐ保育士に知らせるようにしてください。
言い合いからのつかみ合い
私が勤務していた保育園では、2歳児が子ども用ロッカーのそばで順番に散歩の支度をしている時に自分のロッカーの前を別の友だちが塞いでしまっていて通れないので、
「通して」「(上着が)取れない!」と訴えていたのですが、友だちは自分の支度に夢中で声が届いておらずそのままロッカー前を塞ぎ続けるような形になってしまいました。
耐え切れなくなった子どもが友だちの胸のあたりを強く押して突き飛ばしてしまい、友だちはそのはずみでロッカーに顔の横を強打してしまいました。
頬と耳をぶつけて耳が切れて出血もあったのですぐに病院に連れて行って頭部を診てもらい処置をしてもらいました。
このように些細な言い合いからの突然の手出しによって大ケガにつながることもあります。
対処法としては「子どもたちは互いに悪気があったわけではない」ということを保護者の方には理解していただき、
相手の子どもの保護者へのトラブル報告や今後の通院に関しては保育園に任せてもらいたいと思います。
いじわるをされる
幼児になるとある程度仲良しグループのようなものができ、特に良く遊ぶ友達が定まってくるようになることで、
遊びの輪に入れてと言っても「今は〇〇ちゃんたちと遊んでるからダメ」と言われてしまうようなことも時にはあります。
言っている側はいじわるをしているという意識はないのですが、言われた側は悲しい気持ちになりますよね。
このような子どもの人間関係での些細なトラブルや心ない一言で傷ついたり嫌な思いをしたりしことを子どもによっては家族に伝え、
心配した保護者が保育士に事実確認や相談を持ち掛けてきたことがありました。
「子ども同士のこととはいえ、このようなやりとりが当たり前のように毎日続くのは困ります」というような内容だったと記憶しています。
もちろん保育園側やクラスとしてもその都度声をかけたり、あまりに度が過ぎる場合には指導をしたりするように配慮していますので、
保護者の方の対処法としては事実確認や子どもたちの継続的なかかわりができるまでに時間を要することを理解していただき、見守っていただきたいです。
双方の親子には担任保育士や園長からトラブルがあったことを伝えますので、
「うちの子がこう言っていたから」と一方の意見だけを鵜呑みにして相手の子どもや保護者に
文句を言うなどして怒りをぶつけることは更なる混乱を招きますので歯がゆいかもしれませんがここはグッと堪えることが適切です。
保育園でのトラブルは相手も内容も様々!冷静な対応を心がけて
保育園でのトラブル例は年々多様化しているのが現状です。
大人も子どもも共通しているのはトラブルの発端は些細な互いの思いの行き違いや、発した言葉の受け取り方の違いであるという点です。
保育園というひとつの社会の中でなるべく平穏に過ごすためにも、噂を信じたり、よく確認せずに思い込みで理解を進めたりすることは控え、
とにかく落ち着いて対処することが最善の策です。
どうしても当事者同士での解決が叶わない場合には信頼できるママ友や担任保育士、事例によっては園長や主任に相談してみても良いでしょう。
子どものためにもトラブルは早期解決できるようにかかわる相手への思いやりを大切にして対応してみてくださいね。