保育園に乱暴な子がいて心配〜園での対応や親としてできること〜
子どもが保育園に通い始めると、同じクラスの子どもたちと関わりながら毎日過ごすようになります。
同じ月齢の子どもたちとたくさんかかわって色々なことを学び、成長していくということは保育園だからこそ経験できることですが、
クラスの中に良く言えばやんちゃな子、悪く言えば乱暴な子がいた場合にはママとしては自分の子どもに何かあったら…と不安な気持ちも出てきてしまいますよね。
そこで今回は保育園で乱暴な子がいて心配な時、園での対応や親としてできることについて
保育園で勤務していた当時の経験談も交えながら紹介していきたいと思います。
保育園にいる乱暴な子ってどういう子?
保育園にいるいわゆる「乱暴な子」ってどういう子なのか、
話に聞いたことはあってもどのレベルの子をそう呼んで良いのかについて疑問のあるママもいるかと思います。
ここでは保育園にいて、乱暴な子と言われやすい子の特徴などについて説明します。
・他児の髪や服を執拗に引っ張る
嫌なことがあるとその気持ちや怒りの表現として相手の服を引っ張ってその場からどかそうとしたり、
髪の毛を引っ張って泣かせたりする子は保育園内でも比較的よく見られます。
髪や服を不意に引っ張られると痛いのはもちろんですが、引っ張られた勢いで
バランスを崩して転倒してしまい2次的なケガにもつながってしまい非常に危険です。
・他児を叩いたり噛みついたりする
これはお友だちと物の取り合いや些細なことがきっかけで言い合いなどのいざこざになった時に、
嫌な気持ちや自分の思いを言葉にして伝えるより先に手や口が相手に対して
攻撃的に出てしまう子のことを指します。
子どもは力加減ができないので、相手に攻撃をする時にも常に全力で
叩いたり噛みついたりをしてしまうので、相手を傷つけてしまいます。
叩く時にも素手ではなくおもちゃで叩こうとしたり、
噛みつきでは相手の腕に内出血を負わせてしまったりと相手の身体に傷を残す危険性も高く、
双方の保護者を巻き込んでの問題に発展してしまうリスクも高いのが特徴です。
・他児が使っているものをとったり、壊したりして故意にいじわるをする
これは際に述べた引っ張りや叩き、噛みつきなどとは少し異なりますが、
クラスの友だちに対して度を超えたいじわるをする例です。
友だちがせっかく作り上げた積み木やブロックなどをわざと近づいていってバラバラに壊したり、
折り紙やお絵かきを破いたりして相手を傷つけるのが特徴です。
大事なものを壊されたり取られたりしてしまった側の子としては身体的に無傷でも精神的に傷つき、
いじわるをした側の子のことを嫌い、避けるようになってしまいます。
保育園で乱暴な子と呼ばれがちな子にはこのような特徴があり、
基本的には他児に興味を持つけれど言葉の発達が未熟である2歳児クラスからトラブル例としてもよくみられるようになります。
また乱暴な子がターゲットとするクラスのお友だちに対しては
毎回特定の子に対して行動を起こすこともあれば、手当たり次第に行動を起こすこともあります。
乱暴な子がいた時に親ができることってある?
保育園で自分の子と同じクラスに乱暴な子がいると分かった時、
もしくは自分の子が乱暴な子になってしまっていると感じた時に親が出来ることについて説明します。
・担任保育士や園長に相談する
クラスの中で子どもを取り巻く環境に不安がある場合や、
改善してほしい点がある場合などはまずは担任保育士や園長に相談するようにしましょう。
乱暴な子がいるからといって真っ先に相手の保護者に食って掛かるような態度をとったり、
あからさまに「○○くん(乱暴な子)とは遊んじゃダメよ」
という言い方をしたりしないようにすることがなにより大切です。
ママ同士のトラブルは尾を引くことも多いですし、何より子どもに悪影響です。
自分の子どもが危険な目に合うかもしれない、ケガをしたという事実もある、
というように親としていても経ってもいられない場面もあるかもしれませんが、
子どものこれからの保育園生活のためにも怒りや不安はグッとこらえてまずは
事実確認や状況の把握も兼ねて保育園生活の窓口でもある園長や信頼のおける
担任保育士に対して相談することを優先させてください。
・子どもの姿や声に神経質になりすぎないようにする
子どもによっては乱暴な子に手を出されたことや、嫌な思いをさせられたことを家でママに伝える場合もあります。
そのような子どもの話を聞いたママとしては
「保育園ではそこまでされたなんて言っていなかった!」
「相手の子の名前は聞いても教えてくれなかったけれど、いつもこの子がうちの子に手を挙げている!」
という事実が明るみになり、怒りや戸惑いが湧き出てきてしまうこともあるかと思います。
確かに子どものことを思えば親として怒りの感情が沸くのもおかしいことではないのですが、
注意しなければならないのは「子どもの話を1から10まで全て鵜呑みにするのは危険である」ということです。
子どもの中には自分の経験だけで物事を認識し、ママに分かってもらおうと少し大げさに話をする子も確かに存在します。
子どもが園でトラブルに巻き込まれたり、いざこざがあったことは事実かもしれませんが、
まずは冷静になり保育園に確認するのが筋といえますので、親としても暴走しすぎないようにすることが大切です。
・子どもの心の声や欲求を十分に満たせているか振り返る
もし自分の子が保育園で荒れた姿を見せていたり、他児に乱暴な行動をしていたりすることが分かった場合、
ママとしては「友だちにケガをさせていないかな…」
「他の親に嫌な目で見られて避けられたら嫌だな…」という不安が募りますよね。
また同時に「でも家ではいつも通り穏やかなのになぜ?」
「こんなことする子じゃなかったのに」というような悲しみや疑問も生まれてくるかと思います。
そういった場合には今一度家庭環境やママの仕事に最近変化はなかったか、
子どもとのかかわり方や生活環境に変わったことはなかったかなどをよく振り返ってみることをオススメします。
子どもは毎日長時間ママと離れて保育園で頑張っています。その気持ちを最大限尊重して受け止め、
家庭ではたくさん甘えさせてあげ、子どもの話や思いに耳を傾けてあげましょう。
些細なママの態度の変化や子どもに対する向き合い方の変化も子どもは敏感に察知しますが、
家では発散できずに知らないうちに我慢していることや溜め込んでいることもあるものです。
乱暴な子がいた時の保育園での対応について
それでは保育園にこのような乱暴な子がいた時の保育園での
対応はどういうものがあるのか、3点挙げて説明していきます。
・ケガをしてしまった、させてしまった場合
経緯や原因がどうであれ、保育園で起きてしまった子どものケガは保育園の責任となり、
お預かりしている大事なお子さんを傷つけてしまったこと、辛い思いをさせてしまったことをまずは丁寧に謝罪します。
そのあと必要であればケガが発生した経緯や状況の説明をし、
再発防止のために園やクラスとしての今後の対策などもあればしっかりと伝えるようにしています。
どこの保育園にも必ず園内で情報共有するためのケガ報告書や事故報告書を提出し、
クラスだけの問題ではなく園全体の問題としてトラブルの事例や危険性は認識して対応する体制をとっています。
・子ども同士同じ組み合わせでのトラブルが継続して発生した場合
子ども同士のいざこざやトラブル、乱暴な子がターゲットにしやすい子どもの存在があることで、
同じ子が同じ子に対して攻撃をするというケースが継続して発生してしまうことも悲しいことですが実際に存在します。
そのような場合には双方の保護者もさすがに「いつもうちの子に手を出すのは同じ子でしょうか?」
「相手の子は大丈夫なのでしょうか?」と心配するようになるのが当然ですよね。
また子どもがある程度の会話ができれば、保育士が相手の名前を伏せていても子どもの口からママへ
「今日も〇〇ちゃんにやられたの…」と伝えられることも考えられます。
こうして被害者、加害者というような関係がママの間にできてしまい、
保育士の関知しないところでママ同士のトラブルに発展してしまうとどんどん
問題が大きくなり取り返しのつかないことになってしまいます。
このような展開やママ同士に溝が出来ること、子ども同士が不仲になることなどを防ぐためにも、
乱暴な子の度合いやいざこざのケースによっては早めに保育士の判断で個人面談や双方の家庭での
話し合いの場を設けるようにしています。
まずは保育士が乱暴な子をもつママに対してのみ個人的に話す場と時間を設けて、
ママの悩みや家庭の状況などを丁寧に聞き取り、子どもが乱暴になってしまう要因や背景を探ります。
必要であればママの子育ての悩みや精神的なダメージのフォローも並行して行なっていくことで、
根本的な原因を取り除けるように様々な解決策を提案します。
そのあと双方の家庭から要望があれば話し合いの場も設けますが、
私の経験場はあまりここまで事態が深刻化したことはなく、
どの保育園ママも自分の子だけではなく相手の子の事情や性格をよく理解して
穏便におさめてくれていたので、その点では本当に有難かったです。
・当事者の子どもに対して「どうすればいいか」を分かりやすく教える
保育園で起こった事例に対して、保護者への対応はもちろんですがもちろんその場で
当事者である子どもに対してもきちんと保育士は叱ったり、話を聞いたりして対応しています。
子どもによっては相手に手を出すことしか自分の感情を相手に伝える手段がないと思ってやっている子もおり、
そこに保育士が介入して嫌だったという気持ちを受け止めながらも
「そういう時は止めてってお口で言ってみるといいよ」
「おもちゃを使いたいときは貸してって言ってみようか」
と別の表現方法を教えてあげることで意外とすんなり解決することも実際に多くあります。
「友だちを叩いたり、引っ張ったり、意地悪したりして傷つけることはいけないこと」
であり「手ではなく口できちんとお話しすることで相手も反応してくれる」
ということを子どもに分かりやすく丁寧に話して時間をかけてでも分かってもらうことで、
乱暴な行動や真っ先に相手に手を出すという行為は防ぐことができるのです。
ダメなことは毅然とした態度でダメと言い、代わりにどうすれば相手も自分の話を聞いてくれるのか、
その手段を提示してあげることで子どもも精神的に成長し、言葉でのコミュニケーションを優先してとるようになります。
保育園で実際にあったエピソード
ここでは私が過去に勤務していた保育園で実際にあった乱暴な子にまつわるエピソードを2種類紹介していきます。
・言葉がまだ思うように出ず、何かある度に引っかきや噛みつきが出る3歳男児
この子は年齢の割に他の子よりも言葉の発達がゆっくりなので、
クラスの友だちが流暢に言葉でやりとりをしているのについていけず、
不満なことや嫌なことがあると相手の子に対して手や口がほぼ毎回出てしまうというケースです。
その都度保育士が止めに入り、きちんと言い聞かせているのですが本児の中でも
手を出すのが癖になっているのかなかなか収まらず、クラスの他の子どもたちも
「○○くんはいつも叩いてくるから嫌だね」と言い始めるようになり、
遊ぶ際や散歩で手をつなぐ際にも避けられるようになってきてしまっていました。
この事態を深刻に受け止めた担任保育士たちは本児がクラスの子たちと遊んでいる時には
なるべくそばについて見守るようにし、いざこざになりそうなタイミングやきっかけができ始めたら
早めに介入して「そういう時は貸してって話しかけてみたら?」
「△△ちゃん(相手の子)はこうしてほしいみたいだよ?」と分かりやすくかみ砕いて伝えて、
本児がとるべき行動を教えてあげるように声をかけ続けていくように配慮しました。
そうすることで直感的に相手に対して苛立ったり、攻撃しようとしたりしている気持ちを落ち着け、
少しずつですが言葉でのやりとりができるようになり、本児も友だちと話し合った方がスムーズに解決するという
ことが分かるようになり、避けられることもなく同じ輪の中で遊べるようになったことで解決しました。
・友だちの上に乗りかかることでコミュニケーションを図る2歳男児
この子は悪気はないものの、友だちの上に乗りかかったり、
体重をかけて寄りかかったりすることで相手と触れ合ったりコミュニケーションをとろうとしている子でした。
しかし他の子よりも体格が大きく、成長曲線も上にはみ出ているくらい身体の成長が早い子なので、
月齢が低く小さな子に例え抱き着こうとしてこの行動をしたとしても
それはとても危険な行為でケガの危険性がおおいにあるものなので、保育士も保護者の方も心配していました。
少し前まではこのような相手にのしかかるというような行為は見られなかったため、
ママと話をしてみたところママはまだ公表はしていないけれど第二子を妊娠中ということで、
体調が悪い日も多く家庭において本児とのスキンシップがここ最近で激減しており、
満足に遊ぶこともできていなかったということが分かりました。
他にも以前まで上手に飲食でいていた給食やお茶をわざとお皿やコップを投げてこぼすようになり、
他の子にかかったりぶつかったりするケースも見られておりましたが、
これも大人の気を引きたいためにやっている行為であるということが分かりました。
こうすることで良くも悪くも担任保育士は自分と向き合って自分の横について時間を過ごしてくれるという
認識のもとこのような乱暴ともいえる行動をするようになったようなので、ママともよく話し合って対応策を考えました。
対応策とはクラスでは友だちとのスキンシップの取り方を教えると同時に担任保育士や
ママとのスキンシップも重点的に取り入れていくこと、そして特に今日は荒れているなという日には
無理にクラスの子どもたちと一緒に遊ばせずに、担任同士が連携して本児と最も愛着関係のある担任が
本児とマンツーマンで好きな遊びを思いっきりする時間を作るというものでした。
これらの対策をとることを数週間続け、ママとは毎日のように家庭での様子や保育園での様子を
情報交換して連携して本児にかかわっていくことで、本児の態度も徐々に落ち着き、
乱暴な行為もほとんど見られなくなりママも安心していました。
この2つの例を通しても分かるように、子どもが乱暴な子になってしまうには必ず原因があり、
その原因を探って取り除けるように大人が配慮をして子どもとかかわることで
乱暴な子も環境の変化や発達も影響しながら少しずつ落ち着いてくるようになるということがいえます。
ですので「この子は乱暴な子だから…」と先入観やレッテルを貼ってしまうことなく、
その子の本来の性格や良さを引き出せるように関わり方を工夫していくことが大切です。
保育園に乱暴な子がいて心配な時はまず園に相談を!
保育園に乱暴な子がいる、逆に自分の子が乱暴な子になっているということはママにとっては大きな不安となりますよね。
子どものためを思う気持ちはあるのは当然ですが、親が動きを間違えると予想外の大きな
トラブルに発展してしまうリスクもあるので要注意です。
まずは担任保育士や園長に冷静に報告や相談をし、園としての対応を求めることでその経緯を
しっかりと伝えてもらうようにお願いし、親同士直接対決することのないようにしましょう。
また保育園とも連携して子どもに正面から向き合うことで解決する問題も多くあります。
子どもの気持ちの動きや内面のもやもやの解消を最優先にして関わり方を柔軟に工夫していくようにしてみてくださいね。