保育園、ボランティアは募集している?活動内容や条件について
保育園は家庭と子どもと保育士とで成り立つ比較的クローズな空間での仕事ともいえます。
「将来は保育士になりたい」「子どもと関わる仕事ってどんな感じかな?」と思っている方にはなかなか内情が見えづらいですよね。
そのような場合には保育園でボランティア活動をするという手もありますが、内情が分からないとボランティアをするにあたって不安が大きいという方もいるでしょう。
そこで今回は保育園ではボランティアを募集しているのかどうか、そしてボランティアの活動内容や期間について、保育士としての経験談も交えながら紹介していきたいと思います。
保育園でボランティアは募集しているの?
保育業界は共働き家庭の増加に伴い需要が増えてきており、近年の待機児童問題という背景も合わさってどの保育園も保育士をはじめとする職員は不足状態であるのが現状です。
そのような状況の中でも「保育業界で働いてみたい」「この職場に就職したい」と思ってくれる人を見つけるためには、
まず取っ掛かりとして様々な人に保育園での1日の生活や保育士の仕事内容などを保育園の内部を知ってもらう機会が必要ですよね。
そこで保育園ではボランティアを定期的に募集しているところも多いです。
園によっては近隣の小中高と連携して、職業体験の一環として子どものボランティアを受け入れているところもあります。
「保育園でボランティアをしたいけど、どうやってボランティアの募集情報を見つけたら良いのか分からない」という方もいらっしゃるかと思います。
ボランティアはアルバイトや職員募集の求人募集とは異なるので、ホームページや仕事情報誌などに大々的に募集情報を掲載しているわけではないので、確かに見つけづらいものです。
私が過去に勤務していた3つの保育園でも、ボランティアを拒否しているわけではないけれど、積極的に募集するようなお知らせはどこも出しておらず、
電話や来園で希望者から問い合わせがあった場合のみ対応しているような形でした。
大っぴらにボランティア募集をかけない理由としては不審者対策といった面が大きいのではないかなと思います。
ですので保育園でボランティアをしたいと考えている場合には、掲示板やホームページにその旨の記載がないからといってあきらめずに、
一度保育園に直接連絡してみることをオススメします。
もちろん保育園の行事やその日の職員の配置などによってはボランティア可能な日程や時間帯は希望通りにはいかないこともあるかと思いますが、
理由もなく断られることも少ないはずです。
保育園に問い合わせの連絡を入れる際にはなるべく平日の午前中から昼過ぎくらいを目安にすると迷惑じゃないでしょう。
何より保育業界や子どもと接する仕事に興味を持っている方は大切にしていきたいというのが保育者の思いとしてありますので、
ボランティア先として目星をつけている保育園があれば、勇気を出して一歩踏み出してみてくださいね。
保育園ボランティアをするための条件ってあるの?
ここでは保育園でボランティアをする方の特徴やボランティア可能な日時の条件などについて紹介していきます。
ボランティア希望者の年齢や経歴について
保育園でのボランティア希望者の中で最も多いのが、保育士を目指して勉強をしている学生さんです。
理由としては「保育士になる前から現場での経験を少しずつでも積んでおきたい」「実習に備えて保育園の雰囲気や生活を知っておきたい」などが挙げられます。
しかしこれはあくまでも割合として保育士志望の学生さんが多いというだけで、
他にもボランティアに来てくれた方々は「近所に住んでいていつも楽しそうな子どもたちの様子をみて一緒に遊びたいと思った」という
高齢者の方や「夏休みの課題などでボランティア経験をしたことをレポートにしたい」という中学生の男の子、
「進路に悩んでいるので子どもと接する仕事はどのようなものなのか知りたい」という高校生、大学生の女の子など、
年齢や性別に関係なく様々な方がボランティアとして保育園で子どもと一緒に過ごしてくれていました。
ただ保育園によっては不審者対策の一環としてボランティア参加が決まると、ボランティアとして保育に入る前に一度保育園に来てもらい、
見学や園長とのお話しをしてもらうことを受け入れの条件にしているところもあります。
志望動機やボランティア希望日などははじめに問い合わせた時に聞かれる可能性もありますので、きちんと答えられるように準備しておくと良いでしょう。
また保育園ボランティアを志望する人の多くは当たり前かもしれませんが年齢や性別はバラバラでもみなさん子ども好きな方がほとんどです。
「好きなことを仕事にしたい」という点はもちろん、「小さい子の着替えやトイレなどの面倒を最後まで責任をもって担当することが苦じゃない」
という点も保育園で子どもと過ごす上ではとても大切ですので、細かいことまで配慮ができたり子どもの表情や体調などの些細な
変化にすぐに気付けたりする性格の方が多いように思います。
ボランティア受け入れの日時について
保育園の方針や園長によってボランティアの位置づけは様々ですので、園によっては
「ボランティアと言えど子どもと触れ合う仕事なので、単発ではなくできれば何日か継続して来てほしい」という場合もあれば、
「1日だけ、時間も終日ではなく午前中のみでも受け入れ可能」としている場合もありますので、
ボランティアとして活動する際に自分の希望があるようであれば事前に伝えて条件とのすり合わせを行うことが必要です。
私が勤務していた3園ではどこも日付や時間に制限はなく、1日数時間からボランティア受け入れを可能としていました。
ただ土曜日は土曜保育として通常保育とは異なる職員の数や環境で保育をしている関係で受け入れは無しで、日曜祝日は休園日でしたので、ボランティアは原則平日としていました。
受け入れの時間帯としては主活動の遊びや散歩のタイミングに合わせて来てもらい、給食の様子までを見てもらうことが多かったです。
午前中を指定する理由としては午後は子どもたちがお昼寝に入り、夕方になると順次降園していくために時間によっては子どもが減ってしまったり、
保護者対応で保育士が手薄になってボランティアの方のフォローまでできないということがあげられます。
ボランティアの活動内容とは
ここでは保育園でのボランティア当日に主に何をするのかについて3つ挙げて説明していきます。
・子どもと一緒に遊ぶ
保育園でボランティアをする方に最も全力で取り組んでほしいことこそ、この「子どもとたくさん遊ぶ」ということです。
子どもたちは保育園やクラスに新しく来る大人の方に対してすごく興味を持ちますし、「この人は今日、私(僕)たちに何をして楽しませてくれるんだろう?」
ととても期待した状態で一緒に遊んだりお話ししたりすることを楽しみにしています。
遊びの内容としては、その日のクラスの活動内容にもよるかもしれませんが、園庭で思いっきり遊具や泥遊びをしたり、
室内で工作やブロックをしたり、絵本や紙芝居を読んで過ごしたりとその時間ごとに多岐にわたります。
時には大人目線では「それは遊びにならないでしょう」というようなことも子どもたちからしてみれば立派な遊びになったり、
些細な出来事から子どもたちの創造力で大きな遊びに変わっていったりということもたくさんあります。
そのような子どものその時の興味や心の動きをよく観察して、子どもに合った声かけや対応をするように心掛けてほしいと思います。
・着替えやトイレなど身支度の援助をする
遊びや活動の合間には手を洗う時間、トイレに行く時間、着替えをする時間などももちろん入ってきます。
そこでは担任保育士から指示やアドバイスをもらいながら、子どもの身支度の援助をしていきます。
例えば手を洗う時にはちゃんと洗えているか、水遊びをしていないかどうかを見守るようにし、トイレの場合には適切なタイミングで排泄できるように促します。
また着替えに関しては、大きいクラスの子たちならばほとんど自立していて自分たちでできますが、
乳児クラスの場合には袖を通してあげたり、ボタンをはめてあげたり、服の前後を教えてあげたりなど一つ一つ援助してあげることが求められますので、
子どもたちが快適に着替えができるようにサポートしていきます。
子どもによっては人見知りをしていていつもはいないボランティアの人に触られることを嫌がったり、
信頼している担任保育士のそばに行ってしまったりすることもあると思いますが、あまり深く気にせずで大丈夫ですし、
子どもの中には逆に「優しくて楽しい新しい大人の人」に甘えるのが大好きな子も必ずいますので、出来る範囲でやってみてください。
・洗い物や掃除といった雑用も担当する
保育園では子どもと接すること以外に、タイミングをみて掃除や片づけといった雑務も同時進行していかなければなりません。
そこで給食の食器の片づけや食べこぼしの拭き取り、備品の消毒なども保育園の仕事の一環としてお願いされることがあります。
よく「子どもたちが給食を食べている時の食事の介助をお願いされないのはなぜ?」という質問も受けていたのですが、
保育園では食中毒や感染症予防のために職員は全員保健所の細菌検査を受けてから食事の介助に入ることが義務付けられているため、
細菌検査を受けていない方は食事の介助に入ることができないという背景があるのです。
ですので子どもたちが落ち着いて食事をしている間に、遊びの片づけやお昼寝用の着替えや布団の準備を頼まれることが多くなってしまうのですが、
この雑務こそ保育と同じくらい重要な仕事ですので、責任をもって徹底して取り組んでもらいたいという思いがあります。
保育園でボランティアをする時に気を付けることは?
「保育園でのボランティアが無事に決まったけれど、当日の持ち物や身だしなみなどで注意されないように気を付けたい」
「当日に先生たちに怒られないか不安…」という方も多いかと思います。
ここでは保育園でボランティアをする際に特に気を付けるべきことを3つ挙げて紹介していきます。
・身だしなみは清潔感を第一に常識の範囲内で整える
保育園は家庭から大切なお子さんを預かって養育する場でもあります。
ママやパパはもちろん、子どもたちにとっても保育園にいる大人は「ボランティアか正社員かなど関係なく一人の先生」です。
この自覚を大切に、常にだれかに見られているという意識をもって、長い髪は束ねるようにし、
前髪も長くて顔にかかる場合にはピンで留めたり横に分けたりするなどして顔や表情が誰からもはっきり見えるように支度をするようにしましょう。
ボランティア中の衣類はTシャツにジャージやチノパンといった動きやすい服装であれば問題ありませんが、
胸元が大きく広がっているデザインだったり、しゃがんだ時に腰からお尻あたりが露出されてしまうようなローライズの
ボトムは好ましくありませんので用意する時には注意が必要です。
また子どもと接する上で最も気を付けてもらいたいのがご自身の爪です。
子どもの肌は柔らかく、すぐに傷が付いたり、赤みが出たりしてしまうこともあるために、大人の爪が長いとケガをさせてしまう危険性もありますし、何より不衛生です。
ボランティア前日に必ず爪は確認するようにして、長ければ切り、しっかりとやすりで磨いて角を取っておくことが望ましいです。
・挨拶や言葉遣いは最低限のマナーをしっかり守る
保育園では保護者の方や子どもたち、業者の方など様々な方の出入りがありますし、散歩などで外に出れば近隣住民やお店の方との触れ合いもたくさんあります。
ですので常に明るい笑顔ではっきりと挨拶をしたり、必要であれば日常会話をすることが求められます。
ボランティア先の関係者の方々とはしっかりと敬語でやりとりし、
子どもの様子などについて気付いたことがあれば自分だけで解決せずに担任保育士にその都度はっきりと伝えるようにしてください。
大人に対しての言葉遣いはもちろんですが、意外と盲点なのが子どもに対しての言葉遣いです。
「子どもだから…」と上から目線の言葉がけや指示をしたり、子どもの人格を損なうような声かけは保育園では絶対にしてはいけません。
またこれは学生さんに多いのですが、相手が子どものためについ仲良くなるといつもの話し言葉が出てしまい、
少々乱暴な、汚い言葉遣いをしてしまっている姿もよく見受けられます。
子どもが真似をしてしまいますので、「子どもだから」ではなく「子どもだからこそ」適切な言葉遣いで大人同様、対等にやりとりをしていくことが大切です。
・何事も子どもが優先であり、子ども中心で考えるようにする意識をもつ
一度職場体験ボランティアの中学生を5人受け入れた時に、園庭でボール遊びをしていたのですが、
中学生の子たちは自分たちが遊ぶのが楽しくなってしまったようで小さい子どもがいるのにもかかわらず
学生同士だけでサッカーを始めてしまい、ボールを強く蹴り早い球が子どもたちの顔の高さを飛び交っていて非常に危険を感じた経験があります。
さすがに注意をしましたし、ボランティアをするすべての方がこうではないとは分かっていますが、こういった事例も実際にはあるのです。
保育園は子どもが生活する場であり、子どものための遊具や玩具のため、子どもと一緒に遊んだり、
大人が見本を見せてあげるのは良いですが、大人の方が楽しくなってしまい子どもを置いてきぼりにして遊ぶのは違いますよね。
子どもがいる環境に慣れていないと、何をしたら良いのか分からなくなってしまう時もあるかと思います。
そういう時こそ子どもの様子や保育士の接し方をよく観察し、「子どものためにいま自分は何ができるか」ということを毎回考えて動くようにしてみると良いでしょう。
保育の現場を知る良い機会でもあるので興味があればぜひ参加を
保育園では大々的にではないものの、ボランティア職員を募集しているところは多くあります。
保育園によって活動内容や、参加するための条件などは多少違いますが、
「子どもが好き」「子どもと関わる仕事に興味がある」というようであれば一度ボランティアとして活動することはとても良い経験になると思います。
事前に用意するものや注意点などは担当保育士からも説明があると思いますし、不安であれば見学なども対応してもらえると思いますので、
ボランティアに関心があるのであれば、募集が出ていなくても、直接目当ての保育園に電話で問い合わせをしてみてくださいね。