保育園、断乳はする?しない?問題について保育士が答えます
子どもの保育園の入園が決まると保活を頑張ったママとしては一安心というところだと思いますが、
保育園に入園するということはママと長時間離れての生活が始まるということになります。
そこで出てくる新たなママの悩みとしては断乳問題が1番多いかと思います。
なので今回は保育園に入園前の断乳事情について、断乳は入園前に済ませておくべきなのか、
保育園ではどう対応してくれるのかなどを私が実際に勤めている保育園での経験談やママ達の断乳エピソードなども交えながら紹介していきたいと思います。
断乳とは?どう進めるべき?
断乳とはその名の通り子どもがママのおっぱいを断ち、飲まなくても大丈夫なようにしていくことを指します。
断乳はもともと粉ミルクと併用して授乳をしていたり、母乳の出が思わしくなくやむを得ず母乳を止めていたりするママ達は比較的スムーズにいくことが多いですが、
逆にずっと母乳だけで子どもを育ててきたママにとっては計画的に子どもの様子に合わせて進めていかないと結構大変な工程になる可能性もあります。
ママによって断乳達成に向けてかけられる時間や気持ちの余裕も様々なので、断乳の仕方も家庭によって色々であり、段階的に断乳を進めていく指標や
ステップのようなものはありますが絶対にこれ!という方法や手順はありませんので、親子で無理なく進めてくことを重要視していくと良いでしょう。
保育園でも断乳については園の方針で「必ず入園前に済ませておいてください」というところもあるのかもしれません。
ただ私が過去に勤務していた関東圏の3園はどこも規模や方針は違えど断乳に関して入園前に強制するようなことは
一切ありませんでしたので、そのような園は少数派なのかもしれません。
ママの中には「保育園に入るのだから断乳を済ませておかなければ!」と焦って短期間でいきなり断乳をしようとする方も実際にいらっしゃいます。
しかしいきなりの断乳は子どもにとっては大きなストレスとなり、心身共に大きな負担がかかってしまいますので避けた方が望ましいです。
母乳は小さい子どもにとっては安心材料のひとつであり、保育園から帰宅したタイミングや入眠するタイミングはママのおっぱいに触れることで甘えて安心することができるのです。
ただでさえ保育園生活が始まると子どもの環境はがらりと変わりますので、こういった唯一の安心材料をあえて奪わなくても、保育園に入園後に
子どもの様子を見て保育士と相談しながら進めていけば良いと個人的には思います。
もしどうしても断乳が不安で、入園前に少しずつ進めていきたいという場合には、子どもの体調や機嫌が万全な時に少しずつおっぱいから離れる時間を多くしてみて、
なるべくパパにも協力してもらってお風呂なども入れてもらうようにしてもらうことでどもが視覚的にも感覚的にもママのおっぱいを良い意味で
忘れられる環境を整えるところから始めていくようにしてみてください。
断乳は入園前にするべきなの?
断乳をした方が良い、まだしなくても大丈夫という判断をするにあたっては子どもが保育園の何歳クラスに入るかにもよります。
入園する子どもが0歳児クラスの子であれば、月齢的にも発達的にもまだまだ母乳は必要な栄養分ですので無理におっぱいから引き離すことは厳禁です。
もしどうしても…というのであれば母乳と粉ミルクを併用できるように粉ミルクを飲む練習を少しずつ始める程度で大丈夫だと思います。
しかし入園する子どもが1歳児クラスの子であれば、子どもの食事の進み具合や身体の発達によってはなるべく早く断乳を進めていった方が良いという判断や
アドバイスをすることもあります。理由としては、保育園では活動の時間も区切られており、基本的に1歳クラスではミルクも飲むことなく給食で栄養を取るようになるので、
母乳の飲み過ぎで給食の食べ進みが悪いと保育園生活に支障が出てしまうからという点が大きいです。
また食事を十分に食べられているなら、もうミルクで栄養を摂ることも必要なくなってくるので、その面でも調整が必要になってくるからです。
ですので断乳は必ず入園前に済ませておかなければならないということはありません。
保育園に入るにあたって断乳を考え、時期や進め方などに悩んでいるママがいるのであれば、
まずは入園説明会や新年度のクラス懇談会などで担任保育士や同じクラスのママ達に相談することをオススメします。
入園前は他の準備もたくさんあるかと思いますので、親子共にストレスが溜まって疲れてしまうようなレベルで急に断乳をするのであればしない方が良いです。
無理ない範囲で少しずつ始めていくのが良いでしょう。
また保育園入園にあたっての卒乳の時期のめやす等については別記事、保育園、入園前に卒乳は必要?卒乳の時期の目安や保育士のアドバイス
にも記載がありますので、併せてお読みいただければと思います。
入園前に断乳ができなかった時の保育園での対応は?
ここでは入園前に断乳ができなかった子どもに対して保育園ではどのように対応しているのかを3つ挙げて説明します。
・園生活を思いっきり楽しみ、気が紛れるように関わる
小さい子どもが母乳を恋しがるのは、おっぱいが飲めるという目的もありますが、他にもママの匂いがしたり、ママを身近に感じることができるという目的もあります。
ですので保育園に通い始めてママと物理的に距離ができることで、自然とママのことを思い出さずに子どもや保育士と楽しく遊んで過ごす時間が日に日に増えていきます。
保育士も子どもの様子をこまめに見ながら、食事の食べ進み具合や午睡の眠り具合、
機嫌よく遊んでいられる時間帯などを把握していき、子どもが快適かつママを恋しがることなく保育園生活を満喫できるように配慮したかかわりを行なうようにしています。
・家庭では子どもが満足いくまで甘えられるよう伝えていく
保育園で子どもたちは小さいなりに子ども同士の人間関係を作り、親と離れた新しい環境で日々頑張って過ごしています。
一見元気に過ごしているように見えても、知らないうちに心身ともに疲れをため込んでいたり、
お友だち同士のいざこざがあった日などには多少のストレスがあったり情緒不安定さも見られるかもしれません。
そういう日は普段言わないわがままを家庭で言うようになったり、ママに抱っこやおっぱいを強く求めたりすることがあります。
ですのでできるだけ家庭で過ごす夜の時間帯や休日などは子どもとたっぷり関わって、
ママやパパに存分に子どもが甘えられて自分をさらけ出せる雰囲気を作ってあげるようにしてくださいと実際に私自身も保育士としてママ達に伝えるようにしています。
子どもは家庭やママのところなど、安心して帰れる場所が1つあることで自分に自信がつき、行動範囲も広がって保育園でも自分らしく過ごすことができるようになります。
はじめは母乳を飲みたいという理由だったとしても、他の部分で子どもの気持ちが
満たされるようになれば自然とおっぱいを求める回数は減ってきますので、家庭でも関わり方や甘えさせ方の工夫をお願いしていました。
・タイミングやペースなど、家庭と保育園で連携して進めていけるように計画する
断乳に関しては家庭でママが主体的に進める部分ではあるものの、ママだけが焦って短気で進めようとしていたり、逆に家庭ではまだいいかと
思っているのに保育園側だけで進めようと動いていたりと、子どもを取り巻く大人のどちらか一方だけがやみくもに
頑張ろうとしていても足並みが揃わない上に子ども自身も混乱してしまって結局上手くいかないことが多いです。
保育園の入園までに断乳が済ませられなかったことに引け目を感じて保育士に相談しないのではなく、むしろ悩みを相談できる相手が増えたとプラスに捉えて
何でも話し合い連携しながら子どもの断乳のタイミングやペースを決めて進めていければ良いと保育士としては強く思います。
実際に保育園での子どもの様子は保育士の方がよく知っていますが、逆に家庭での様子はママの方がよく知っていますよね。
それぞれが持っている情報を共有し、真の子どもの姿を捉えながら子どもに無理ないペースで断乳を進めていけるように一緒に計画を立てていくようにしています。
保育園ママ達の断乳エピソード、経験談
ここでは私が勤務していた保育園でのママ達が経験したリアルな断乳までの成功と失敗エピソードを1つずつ紹介します。
・断乳成功エピソード 1歳児クラス女児
この家庭はママも断乳に積極的で、入園当初から保育士に断乳の進め方や段階についてこまめに相談してくれていました。
家庭でも子どもの様子に合わせて大丈夫そうな時は入浴や寝かしつけをパパにお願いするなど、パパの協力もおおいにあったことで、
子どもも無理なく自然とママのおっぱいから離れることができるようになり、いつの間にか「ミルクよりも家族みんなで食べるごはんがおいしい!」
「パパと一緒に寝るのが良い!」と子どもの方から言うよりになり、おっぱいのことは口にしなくなったとのことでした。
もちろん子どもの様子や体調が思わしくない時には無理におっぱいを制限することなく、時と場合に応じて臨機応変に対応していたとのことでした。
元々よく食べる子だったこともあり、母乳よりも食事のおいしさにいち早く気付いたのかも?
とママも驚いていましたが、断乳をしたからといって子どもが不安定になったりぐずったりする機会が
増えるようなこともなく保育園生活にも支障をきたさなかったので、断乳のステップとしては成功だったといえます。
・断乳失敗エピソード 1歳児クラス男児
この家庭は断乳をしないといけないと分かっていながらも、子どもがぐずった時や寝つきが悪い時には必殺技のような感じで毎回母乳で
対応していたことが原因で、子どもも「このまま泣いていれば母乳を飲める」
「ごはんを食べなければ母乳が飲める」というように認識してしまっているようで、なかなかうまく断乳ができずにいました。
そうして親子共に「何かあった時にはおっぱい」という認識のまま生活を続けてしまい、
保育園でも給食は食べるものの寝る時にママを求めて泣いたり、おっぱいが飲めないことでイヤイヤをする場面が多かったりしました。
子ども自身も「パパよりママ」「ママがいればおっぱいがいつでも飲める」
と甘えてしまい、ママ自身もおっぱい以外の子どものなだめ方や他の気のそらし方が
分からずにおっぱいを止められないでいるというような負のスパイラルに突入してしまっており、結局2歳クラスになるまでずっと事あるごとにおっぱいを飲んでいました。
保育士も度々「そろそろ断乳を…」と伝えるものの、改善には至りませんでした。
結局は食事と母乳をダブルで摂っていることもあり、「保育園の健康診断では成長曲線が上回りすぎていてこのままでは太りすぎになってしまう」
と指摘され生活や栄養指導が入るようになってしまいました。
これらのエピソードからも分かるように、入園前に必ず断乳をしておかなければいけないというわけではありませんが、断乳のタイミングや時期を間違ってしまうと
子どもの発達にも影響が出てくる上に、イヤイヤ期などが重なって断乳するハードルがどんどん上がってしまいます。
ですので保育士と相談して出来ることから少しずつ計画的に断乳を進めていくことが望ましいです。
保育士と相談しながらタイミングを見て計画的に進めて
保育園児の断乳は入園前に完了にしておかなくても大丈夫ですが、
入園する子どもの年齢によっては入園後すぐに保育士から断乳を進めているかどうかや断乳の有無を確認されることもあります。
基本的には食事で栄養が摂れていれば母乳の栄養はプラスアルファになり
栄養過多になってしまうリスクもあるので、1歳を過ぎたあたりから断乳を検討し始めるのが目安となります。
子どもの健やかな発達のためにも、保育園生活の充実化のためにもぜひ家庭でも工夫をし、
保育士と連携しながら断乳を計画的に進めていくようにしてみてくださいね。